夢/コネタ | ナノ

▽ 弱肉強食の話

「からあげ、からあげー」
「待ってました、からあげ定食!俺大好き!」
「竹谷、肉なら何でも好きじゃん」
「まぁな!肉食わねぇと体力も筋肉もつかねぇもん!」
「つかないと七松先輩についていけないもんね…」
「……うん…」
「とにかく食おう!私お腹すきすぎて胃が痛い!」
「だな!」

「おー、お前ら」
「「(出たーっ!)」」
「お前らも夕食か?私もなんだ。一緒に食べよう!」
「え!?えっと…、その……、ねぇ竹谷?」
「お、おうっ…。その…、僕たちは僕たちで「食べよう!」
「(誘ってくれるのは嬉しいんだけど、誘い方が強制だし、なんか怖い!)」
「(ダメだな。拒否れねぇや。拒否れた試しねぇけど)は、はい。ご一緒します」
「竹谷!?」
「諦めろ…。頑張っておかずを死守するしかねぇ…!」
「また今晩も夕食攻防戦が繰り広げられるのか…。たまにはゆっくり食べたい!」

「と思ったら、普通だった…」
「凄い集中して食ってますね、七松先輩…」
「おう!お腹減ってたからな!」
「そうですか。いやー、俺らも無茶苦茶減ってたんすよ。からあげって美味しいっすよね!」
「おう!」
「からあげは最後のほうに食べるとして…。先に味噌汁ー」
「あ、俺も最後のほうに食べよーっと」
「にしても今日も疲れたね。竹谷はヘマしてばっかだし…」
「あれはお前の責任だろ?何であそこで転ぶんだよ…」
「いや、あれは竹谷が邪魔だったからだよ!私は悪くない」
「嘘つけ!俺邪魔してねぇし!」
「してたよ!」
「してねぇよ!」
「して―――あれ…?からあげがなくなってる…」
「……」(もぐもぐ)
「七松先輩…、私のからあげ食べました?」
「…んぐっ。―――食べてない!」
「いや、現行犯ですやん。口むっちゃ動いてましたよ。食べましたよね?」
「食べてない!」
「嘘つかないで下さい。食べましたよね?」
「食べてない!」
「美味しかったですか?」
「うまかった!」
「ほらァ!」
「しまった…。お前、策士だなっ…!」
「私のからあげがァアアアア!せっかく最後に食べようと避けてたのにぃ!」
「なんだ、避けてたんじゃないか!」
「お楽しみを取ってたんですよぉ!うえーん、竹谷ァアアア!」
「よしよし、可哀想に…。まぁだからと言って俺のはあげねぇけどな」
「そこは頂戴よ!親友でしょ、私たち!」
「親友であろうと、からあげはやらん!寧ろ俺はからあげと親友になりたい!」
「最低!生物委員会のくせに鳥食べやがって!この裏切りもの!」
「うまいものはうま―――……おほ?お、俺の避けてたからあげが…ないッ!」
「……」(もぐもぐ)
「七松先輩。俺のも食べましたか?」
「……うまい。いや、食べてない」
「うまいって今言いましたよね?つか、口動いてましたよね?」
「食べてない!」
「嘘つかないで下さいよ!俺のからあげも食べたでしょ!?」
「食べてない!」
「うまかったっすか!?」
「うまかった!」
「ほらァ!」
「しまった…!またやられてしまった…。お前たちも成長したな!私は嬉しいぞ!では、からあげたくさん食べたし失礼する!」
「うわあああああ!俺のからあげえええええ!」
「私のからあげ、カムバァアアアック!」

「……今日も二人は大変そうだな」
「あはは!七松先輩、二人と一緒にいると楽しそうだね。ちょっと羨ましいや」
「私は羨ましくないな…。雷蔵は中在家先輩と仲がいいじゃないか」
「まぁね。でも時々、あんな関係が羨ましいなって思うよ」
「それは……、解らなくもない」
「だけど、からあげ盗られるのは嫌だなー」
「雷蔵も大食いだからな」
「うんっ!」