夢/コネタ | ナノ

▽ 金髪のお話

「ところで、何でお前金髪なの?」
「え、似合ってない?」
「「似合ってない」」
「二人揃って言うことないじゃん!これには事情があるの!」
「どんな事情?」
「……聞いちゃう?」
「何だよ…。もじもじしてねぇでさっさと言えっての」
「その変な生き物を見るかのような目を俺に向けないで!これはな……。その…」
「そんなに言いづらいことなの?」
「…なんつーか…。入学前に散髪行ったんだけどよ、「高校デビューすんだー」ってお店のお兄さんと話してたんだけど、いつの間にか寝ちゃってたんだ。因みにそこ、昔から通ってる散髪屋な」
「美容院って言おうよ」
「うっせぇ、なんちゃってジャニーズ。そんなお洒落なお店には行けません」
「んで、それが金髪とどう関係があるんだよ」
「…寝て起きたら勝手に金髪に染められていました…。「これで高校デビューだ!」って親指立ててからさぁ…!俺別に派手にデビューするつもりなかったんだよ!」
「うわぁ…。これって不運なのかな?」
「伊作がいねぇのに不運だなんて…。どんまい!」
「どんまいじゃねぇよ留三郎!このせいで三年の先輩からは目をつけられ、町の不良には呼び出され…。俺が何したっていうんだよちきしょう!」
「でも君も悪いよ。黒に戻せばいいじゃん」
「やだよ。髪痛むだろ」
「そこは細かいんだな。つか面倒だっただけだろ」
「ご名答!」
「金髪に染められ、喧嘩は売られ…。大変だったね」
「まぁいいさ。三年も不良も返り討ちにしてやったしな!」
「結局派手なデビューしてんじゃねぇか」
「小平太と仙蔵ほどじゃねぇけどな」
「あいつは文字通り化け物だし」
「仙蔵は現代でも頭偉いんだねー」

「そしてお前たちは現代でもアホなのだな」

「「「仙蔵!」」」
「喋ってないで早く勉強せんか、バカタレ!」
「ちょうじぃ…。飽きたーっ!」
「小平太…、あとちょっとだ、頑張れ…」
「ぐああああ!もう勉強なんて大嫌いッ!」