黒髪の柔らかな髪を撫でる。
少し癖のあるそれは、ふわふわとして心地が良い。指に絡ませて梳けば、さらさらと流れる様に滑り落ちる。綺麗な髪。普段はトレードマークとも云える、あの真っ赤な帽子を被っている為に隠れているけれど、それが勿体なく思えてしまう位、本当に綺麗な髪。

「…キレイっスね、先輩の髪」

真っ赤に染まる頬に小さく笑みを零す。噫、可愛い。
年上だとか、同性だとか、そう云ったものを差し引いたとしても、先輩は可愛い。性格、行動、言動、どれを取っても可愛いけれど、先輩を構成している体躯やパーツは可愛いと云うよりは綺麗だ。
先程の髪は勿論の事、白魚みたいに透き通った白い肌だとか、すらりと伸びた細長い指先だとか、それを飾る桜貝みたいな薄桃色の爪だとか。すっごくキレイ。

だけど、一番キレイなのは、目。
燃える様な鮮やかな赤。明る過ぎず、且つ、暗過ぎず。絶妙な明度で彩られたそれは、まるで宝石の様で。
煌々と輝くと同時に、何処か不気味で――血を彷彿とさせる様な、そんな鈍さを孕んだ瞳。
その形容し難い不思議な赤は、一度目にすれば一瞬で魅了される、そんな不思議な魔力を持っていた。若かしたら俺も、その魔力に充てられた一人に過ぎないのかも識れない。

だが残念な事に、その美しい宝石は固く閉ざされてしまっている為に見る事が出来ない。代わりに、縁取られた長い睫毛が顕著になる。

「寝顔もかわいーっスよ」

滑らかな頬を撫でながら、囁く。真っ赤になった先輩に、どうしようもない程の愛しさが込み上げてきて。噫、好きだ。
改めて、そう思う。俺は、この人に心底惚れて居るのだと。それはもう、狂おしい程に。

少し癖のある前髪を掻き上げて、露になった額にそっと唇を寄せて。

「だーいすきっスよ、レッド先輩」

その名前に相応しく、その全てを赤で染め上げた愛しき人に、何度目か知れない愛の言葉を贈った。











返事が返って来る事は疎か、その瞳が開かれる事もないけれど、






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