(高尾くんと、シリーズ番外)
「黄瀬くん!」
「?なんスか、高尾っち」
満面笑顔の高尾っち。
いつもよりその笑顔が輝いて見えたのはオレの都合のよい思い込みかもしれないけど、なんか、嬉しそうだしまあいっかと高尾っちを見つめ返す。
「誕生日おめでとう!!!」
「え」
「はいこれプレゼント」
あまりの前置きのなさに一瞬動揺するけど、パッと差し出されたプレゼントを半ば反射で受け取る。
え、これ、わざわざ準備して?てか、昨日電話したときは何も言ってなかったのに。
じわじわ込み上げる喜びに自然と頬が弛む。
「わあああ嬉しいっス高尾っち!!!……って、あれ?」
言いかけて、とまる。
あれ?
今日って、17日、っスよね?
ふと気づいた事実に黙っていればいいものを、一言が、つい口をついて出てしまった。
「オレの誕生日あした、っスけど……」
ってわざわざ祝ってくれてるのにオレめっちゃ厚かましい!てか言わなきゃよかった!
不快な思いをさせたらどうしようと激しく後悔していたら、高尾っちはそんな素振りを見せるどころかいつも通りの笑顔で。
「うん知ってる。だって当日はやっぱり好きな奴と過ごしたいっしょ?だからオレは前日にフライングおめでとうしてみましたーっ」
「た、高尾っち!……どこまでもハイスペック!!!」
思わず立ち上がったオレにいつものように高尾っちが爆笑しだすのは、すぐあとの話。
(ステキな誕生日を過ごしてね、黄瀬くん!)