き「気づいた」 







同族嫌悪って言葉があるけど、わりと初対面はそれに近いものがあったと思う。

誰彼構わず愛想振り撒いて、嫌われないように適度なオツキアイ。
どこでどんなカタチで下らない人間関係が役に立つか分からない以上は、下手に蔑ろに出来ない。



たぶん彼も、上手に人付き合いしてるタイプなんだろうなーと思ってたから、緑間っちとの振り回し振り回される間柄に驚いたのは正直なところっス。





「もー、ラッキーアイテムがモデルのピアスだから借りに行ってこいとかひどくね?!緑間のが黄瀬くんと同中だろ!」

「ていうか言われてわざわざ律義に借りに来る高尾っちも高尾っちだと思うんスけど」

「いやついでにちょっと黄瀬くんとお話できればなーって」





へらりと笑った高尾っちは人の良さそうな雰囲気を醸し出していて。ムリがない。
こういうのが、オレと違うところ。
つくってない笑顔。





「オレと話しても何もないっスよ〜」





作り笑いのオレに対する挑戦かと嫌味を込めて言えば、やっぱり返ってくるのは、笑顔。





「え、面白そうだけど、黄瀬くん」

「は?」

「オレには絶対ないカリスマ性っていうのかな?オーラ?そういうの、持ってるなあって。だから話してみたかったんだよね」

「……っ」





そんなこと。



そんな顔で言うなんて。





「黄瀬くんは、魅力的なひとだと思うよ」








ずるいっスよ。

高尾っちは、ずるい。



そうやって、見ないふりしてたオレに、無理矢理に気づかせるんだから。








ほら、気づいた?



違う



最初から気づいてたよ








(アンタに、惹かれていたこと)













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