一方的乱射銃









「リヴァイってさ、エレンのこと大好きだよね」

「は?」





いきなりハンジが意味の解らないことを言い出した。
いや、コイツがワケのわからないことを言い出すのはいきなりでもない。わりといつものことだ、が。今回は内容が内容で思わず聞き返してしまった。





「だれが、なんだって」

「いやだからキミが、彼のこと、大すへぶっ!」

「ちょ!兵長!ハンジさんに雑巾が直撃しましたけど!!」

「したんじゃねえさせたんだ」





クソメガネが、アホなことを言い出すから。つうかエレンいたのか本人の目の前でさっきの発言したのかクソメガネまじクソだなオイ。
無言で掃除を再開すれば、やれやれとメガネを拭くハンジが視界に入った。
苛つく衝動を抑えつつ横目に「臭い」と告げれば「うん、キミのせいだよねリヴァイ」と笑顔が返ってくる。
それは自業自得だろうが。





「私の勘は間違いないと思ったんだけどなあ」

「それはそれは毛ほども役に立たねえ勘だな」

「そう?リヴァイには好きな人がいるのだと予想していたんだけどね」

「……」





なにを。下らないことを。

睨みをかませば肩を竦めるハンジ。悪気はありません、と言外に告げたらしい。

それでも、俺のなかの不快感は消えない。





「もう、二度と言うな」

「え?」

「俺が誰かを好きだなんて、笑えねえ冗談を、だ」

「はいはい、分かりました」

「次は雑巾じゃすまねえからな」

「ふふ、わかってるよ」





ほんとに、笑えねえ。

俺が、お前以外の誰かを好きだなんて。






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