君のために


「あの子はどうだ?」

「んー…めっちゃ可愛いっすけどたぶん彼氏いますね、てか待ち合わせだと」

「まじだ男来た。……くっ、じゃああっちの森ガール風女子は!」

「あー…たぶん遊び慣れてる気がしますけど……」

「なっ、あああ見ろ!こんな街中できっききき」

「わぁまた濃厚なのやってますねー」





黄瀬くん繋がりで知り合った森山サンに突然呼び出されファミレスへとやって来たオレは、ひたすら道行く女のコチェックをしていた。
正確に言うと、森山サンがナンパ成功しそうな女のコチェック。

休みの日になにやってんだろーなあとか思いつつ何かほっとけないし。手元のジュースを一口飲んで、横目に森山サンを見つめる。

男性にしては綺麗な顔。視線の先にいるのが女のコでなければその真剣な眼差しは涼やかで、たぶん黙ってたらこの人はイケメンなんだろうけどな。





「高尾、どうすればモテるんだ」

「え。オレにそれ聞いちゃいます?」

「オマエがモテることはすでに黄瀬の情報から知っている!」

「いやいやオレそんなモテないですよ!」

「……」





顔の前でブンブンと手を振れば、ジト目を向けられてしまう。
いや、ほんと、モテないですって。女子とはフツーに話すけどあくまで友達の域だし。





「そういう謙虚な姿勢が好感度をあげるんだよな、分かる、分かるぞ」

「えぇぇ……?」





うんうんと何か深く頷く森山サンを笑いながら見つめれば「高尾は何でもよく気づくし話も面白いしな」と突然褒めちぎられる。
何か照れ臭くてすぐに口を開いた。





「ていうか森山サンこそ!スゲー優しいしカッコイイし細かいとことかも気づいてくれたりするし、イイ人なんだから絶対イイ彼女できますって!ねっ?」





笑って告げたら、なぜかいきなり無言になる森山サン。
あれ。何か気に障ることでも言っただろうか。
と焦り始めたとき、不意にその白くて長い指がオレのそれに絡められる。
分かりやすく言えば、その、手を握られた。





「あ、あの森山さ……っ」

「高尾。次の試合、オマエのために頑張ろうかと思うんだが」

「は、い?」





きらめく笑顔に、固まる。





「オレは次の試合、オマエのために勝つ!」








(……森山サン、明後日オレらんトコと練習試合なの知ってます?)
(え)



(13/4/11)



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