「宮地サーン!こっちです!!」
「オマエ、そんな大声出さなくてもわか……あ?」
「へ?」
天気がいいので出掛けませんかって駄目元で宮地サンに連絡したら、まさかのオーケーが出たので。
張り切ってオシャレとかして駅前で午後から待ち合わせた訳だけど。
「……」
「み、宮地サン?」
「は?ああ、行くか」
出会い頭固まってしまった宮地サンに恐る恐る声を掛けたらちょっとだけ視線を外したあと、いつも通り素っ気なく踵を返してしまった。
期待していたわけじゃないけど、何のコメントもなくて少し残念だ。
冗談半分でオレンジ色のフレームの伊達眼鏡とかしてきたのが良くなかったのかもしれない。真ちゃんを彷彿させた可能性がある。
「あのっ、今日は、服買いに行くんですよねっ」
「おー」
そっと眼鏡を外してポケットにつっこんでから宮地サンの隣に並ぶ。
前を向いてたと思った宮地サンはオレの方に視線だけ向けていた。
「……つうか、アレだな」
「はい?」
「なんつーか、いつもコジャレてるよなオマエ」
「えっ……え?!」
ぽつりと溢された言葉に慌てて隣を見上げたとき。
するりと宮地サンの手が、オレのポケットから派手な色のそれを拐った。
そのまま自然な動作で、眼鏡をかけられる。
「……、せっかく似合ってんだから、しとけよ」
「……ッ!!」
柔らかく微笑まれたら、もう堪ったもんじゃない。
「……宮地サン、それは反則ですよ……」
「るせー。先にファウル仕掛けてきたのはオマエだろ、高尾」
「……会って最初に顔反らしたのも、もしかして照れ隠しですか?」
「いらんこと掘り返すなバカ」
そっぽ向いた宮地サンの頬が、僅かに赤かったから。
オレもつられて頬を染めてしまったのは、内緒だ。
(そんな休日)
(13/5/8)
prev next