いつもいつでもいつまでも




「和成、それ取って」

「これ?」

「おー、Thank you」

「ぶは!でたよネイティブ」





高尾っちと火神っちが二人並んでキッチンに立つ姿はまさに新婚さんだ。
いや、別に羨ましくなんかないっスよ。

今もただ調味料取るだけのやり取りのはずなのに、高尾っちが差し出した調味料を受け取る際にさりげなく火神っちがデコちゅーかました。
それにとくにリアクションもなく当たり前のように微笑む高尾っちまじ可愛い。
いや、だから別に羨ましくなんかないっスから!!





「黄瀬くーん、大丈夫?暇してない?もうすぐ黒子も来ると思うけど」





不意にキッチンから顔を覗かせた高尾っちがオレに声を掛けてくれる。
ヘーキっスよ、と笑えば高尾っちも笑い返してくれた。

各々がそれぞれの道へと進んだ高校卒業後のある日。
神妙な顔した黒子っちに呼び出され高尾っちが火神っちと一緒に暮らしてると聞いたときは正直、飲んでたシェイクを噴き出す程度には驚いた。
「伏兵は思わぬ所に潜んでいました……」と呟いた黒子っちのバニラシェイクを持つ手が震えていた事実は、オレの心の中にひっそりと仕舞われている。





「たいがー、こっちは大体出来たけど」

「ああ、オレももうすぐ出来る」





ダイニングにも良い匂いが漂ってきていて、料理の完成が近いんだなとわかる。
ちなみに、今日はオレの誕生日の前祝いをしたいって高尾っちからのお誘いを受けてきた。
高尾っちは相変わらずオレたち皆に優しいけど、火神っちに接する態度だけは、なんていうか。安心しきった様子で。





「和成」

「んー?」

「ちょっと口開けろ」

「あー」

「美味いか?」

「ん……うん、てかたいがーの料理不味かった試しとかないから!」

「……おう」





黒子っちまじ早く来て。このままだとオレ、ナチュラル新婚さんな二人の空気にあてられてハートブレイクどころか再起不能になりそう。

そんな此方の心情など知るよしもない高尾っちたち。それはもう仲睦まじい雰囲気に包まれるキッチンからなるべく目を反らす。





「ね、オレのは?」

「ばか、オマエの作ったメシだっていつもうまいだろ」

「えー?人には味見させといて。いいや、黄瀬くんに味見してもら」

「和成。オレがする」

「ハイハイ。じゃ、どーぞ?」



あっち側なんか別世界が構築されている気がするんスけど。



ただ、高尾っちの笑顔を見てたら。ああ、幸せなんだろうなあ、ってわかったから。





「火神っち!」

「お、おう、なんだよ黄瀬」

「高尾っちを泣かせたりしたら許さないっスから!」





どうか高尾っちが末永く幸せになればいいと思う。








(悔しいからお似合いだなんて言わないけど!)



(13/4/30)



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