海辺でふたり
「あ。どーもこんばんは!」

「お、おう……」





合宿の夜。
ちょっとコンビニにでもと外に出たら誠凛の主将サンと出会した。
笑顔で挨拶したら何かビミョーな顔をされる。え、オレなんかしたっけ?





「誠凛主将の日向サンですよね。オレ秀徳のPGなんですけど、」

「いや知ってる。高尾、だろ」

「へ?」





名前を呼ばれるとは思ってなかったから驚く。
ぽかんとしてたら「あの緑間の女房役と噂の…」と小声で呟くのが聞こえた。





「ブフォ!え、なに、オレらヨソでそんなふうに言われてんすか?!」

「……あ、いや悪い、つい」

「つい、って。てか真ちゃんがダンナとか……やべ、ウケる、ぶは!」

「そこまで笑うことなのか?」





一通り笑ってから日向サンを見れば呆れたような視線を貰う。
へらりと笑って返せば、カタチの良い眉がぐぐっと寄るけど気にしない。





「そもそもダンナにもらうなら日向サンみたいな男前がいいです、なーんて」

「……は……?」





冗談混じりにウィンク飛ばせばすげえひきつった顔をされる。やべ、笑いそう。
とか余裕ぶってたら、不意に日向サンが、きれいに笑った。



思わず見惚れるくらい。綺麗に。





「だアホ、テメーみてえなクソガキ願い下げだ」





今度は、オレが固まる番。
そのままイイ笑顔で立ち去る日向サンの背中を無言で見送る。





「……。日向サン、予想以上に男前でどうしよう……」





やけに顔が熱く感じるのは、たぶん夏の熱気のせいだけじゃない。








(あ、おかえりー日向君……ってなんか顔赤くない?)
(ばっ、ちょっと可愛いかったとか思ってねーからな!強がってあんなこと言ったわけじゃねーから!!)
(……どういうことかしら?)
(あ)





(13/4/7)



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