「そんなに見つめられたら恥ずかしいよ、高尾君」
「ひ…っ!ちょ、やめてくださいよ花宮サン!鳥肌たったじゃないすか今!」
「……ぶっ殺されてーのかテメェ」
「あ、そっちの態度のがいい。断然安心感ありますもん。でも殺されんのはイヤです」
暴言の方が安心するって。
アタマ可笑しいんじゃねえか。
そう告げてもコイツは笑うだけだ。反論もしなければ不快な顔もしない。
コレがただの阿呆ならわざわざオレが相手することもなかったんだが。
『花宮サンて、なんでブってんですか?』
とある大会の会場で秀徳の緑間と歩いていたコイツは、初対面だからと至って親切に対応していたオレにそう告げた。
嫌味なくただ純粋な疑問をぶつけてきやがった高尾に吐き気がしたが、同時にあっさりとオレの内の部分を見破ったコイツに、単純に興味が沸いたのも事実。
「花宮サーン、悪い顔になってますよー」
「あ?うっせぇコレがデフォルトだ。つうかてめぇはなに人の顔を無断でジロジロみてやがる、金取るぞ」
「えええ?!なんすかその理不尽な要求!」
「嫌ならどっか別ンとこ見とけ」
「……花宮サンて、悪童とか言われてるわりに案外照れ屋ですよね」
「ふはっ、地べたに這いつくばれ高尾。踏んでやるから」
「すみませんでした」
最高礼で謝ってきた高尾を横目に鼻で笑う。
悪童、ねえ。
誰が言い出したか知らねぇがダレが餓鬼だ。ダレが。不本意極まりない。
「それに……花宮サン、ほんとに嫌いだったりうざいヤツ相手にしないでしょ」
チラリ、と窺うような視線を寄越してくるから、もう一度鼻で笑ってやった。
「ああ、だから、高尾のことはわりと気に入ってる」
「……まじですか」
「……わけねぇだろバァカ」
「ですよねー」
へらへらしてんなよ、うぜえな。
正直に言うのは癪だからこの先それこそ死ぬまで(勿論高尾が、だ)口に出すことはしないだろうけど。
強ち、間違ってねえよ、バァカ。
(興味、から、好意、へ)
(13/4/23)
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