ひだまりときみ
わりと昔からバランス良く生きてて、人に弱みなんて見せたことがなかった。意図してそうしてたわけじゃないけど。
甘えるまえに甘えられる、相談するまえに相談される。それを繰り返すうちに誰かに頼る以前に自分でどうにかしてしまう癖がついた。

はずなのに。








「そんままでいいから」

「や、だいじょ、ぶ、っす」

「何がだよ、ボロボロじゃねえか」





くしゃ、とオレの頭を撫でる手の温もりを感じながら、あれなんでこんなことになってんだろうとか考える。

なんか、練習中にいろいろいっぱいいっぱいになって、主将に一言告げて外の水飲み場にきたあと。崩れるように隅っこで踞ってた。
そしたら急に誰かに抱き締められるから何事かと思えば。





「み、みや、じサン……っ」

「いいから」

「っ、よくな……い」

「普段うるせー程にぎやかなヤツが泣いてるとこっちが調子狂うんだよ。はやく、泣き止め」





言われるまで。オレは自分自身が泣いてることに気づかなかった。
それでも、ただ体調が悪いだけだと告げたら両手で頬を覆われて顔を上げさせられる。
怒ったような、でも、なんでか哀しそうな宮地サンの目とぶつかった。

今度は、ぽたりと生暖かい雫が頬を伝うのがわかった。





「高尾。オマエがそういうの隠すのうまいのは知ってるけどな。全部、わかんだよ」

「……ぇ、?」

「……オレが、どんだけオマエを見てたと思ってんだ。いいから、オレには甘えろ」





おっきな掌が後頭部に回されて、今度こそ宮地サンの胸に飛び込む形で抱き締められる。





「ふっ、ぅ……み、やっ……」

「ムリして喋んなくていいっつーの」





優しく背中を撫でられるのが心地良い。

甘え方なんてもう忘れてんじゃないかと思っていたオレのことを、この人は驚くほど自然に解していくから。
すがるようにその胸に顔を寄せた。








(憩う場所)



(13/4/17)



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