「よォ」
「青峰」
合宿の夜、ジュースでも飲もうかと休憩所に来たら青峰と出会した。
タンクトップにサルエルっぽいカッコの青峰はなんかガテン系に見える。体格良いし。色黒いし。
「何かオマエいま失礼なこと考えなかったか?」
「いや。考えてないけど」
「ちょう棒読みじゃねえか」
なんとなく隣同士に座れば、やっぱりガタイのよさが改めて分かる。オレだって男子の平均はあるけどほんと規格外だわ。
ジュースを飲む横顔を見てたら「そういえば」と何か思い出したように口を開く。
「こないだの話だけどよ」
「あ?どれ」
「エロい話」
「ちょ、だからどれ?」
ぶっちゃけコイツとはエロトーク(という名の下ネタ)をよくするからどの話か分からない。
笑って聞き返したオレに青峰もこっちを向く。
「感じやすい場所がどうこうのやつ」
「ああ、性感帯の話」
「ちょうどドコか聞く前に緑間にジャマされたろ」
「ぶはっ!気になってたんだ?」
「おー」
からかったつもりの問いかけに素直に頷かれる。青峰のこういうトコ、真ちゃんとは正反対だよな。
自分の欲求願望に正直なところ。
全然好きだけどね。
「まあ個人差大きいらしいけど基本、粘膜が体外に出ている部分とか静脈が皮膚に近いところにある部分は感じ易いらしいよ」
「ネンマクが体外……ってなんかエロいな」
「まあ要するに口の中とかアソコとか、ね」
「……。そりゃまあそうだろ」
一瞬なんか目を反らされたけど、あんまり気にせず続ける。
「あとは静脈の方だとたぶん内腿とか?」
「この辺か?」
「ひァッ!……っいやいやいや、どこ手ェ突っ込んでんだよ青峰っ」
かなりナチュラルにハーパンの裾から差し込まれた手はするりと脚の付け根を撫でて。
ぞわりと背中に走る感覚。
慌てて突っ込まれたままのその手を掴むけど、それはオレの意思とは反対に内腿を這う。
「ちょ……、や、っほんと、なにして……!」
「ふーん……まじで感じるみてえだな」
「……ッ感心してないで……っん、青峰ぇ、やめ、ろって」
「……」
必死で青峰の腕を掴んでうっかり漏れそうな声を抑えて訴えると、ピタッと撫で回していた手が突然止まった。
ほっと息を吐いてから睨み上げる。
つか早く手をどけろよまじで。
「もー!試すなら別の誰かにしろよ!」
「高尾……エロかったんだな、オマエ」
「はぁぁ?!」
「いや、リアクションが予想外にエロくて……なんか、やべえ」
「は……?」
熱の籠った瞳に変な汗が出てくる。
イヤな予感しかしない。
咄嗟に立ち上がろうとしたけど、青峰の反射の方が速くて。
「せっかく聞いたんだし、実践させろ」
手首を強く捕まれ耳元で低く囁かれた言葉に、もうどうにでもなれとオレは逃げることを放棄した。
(抵抗しねえの?なら早速…)
(青峰ぇぇぇ!!キサマは何をしているのだよ!!!)
(げ。緑間)
(真ちゃん!超絶ナイスタイミング!!)
(13/2/7)
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