そもそもの発端は黒子の問題発言。
「高尾君、デートしませんか」
「!!!?」
「ブフォ!!!」
真ちゃんと珍しくマジバに寄った先で黒子と遭遇し、せっかくだしご一緒させてーとかいつもの調子で絡んで三人仲良く(主観)シェイク飲んでたら突然黒子がおかしなことを言い出した。
思いっきり噴き出しちゃったんだけど。
真ちゃん固まってるし。
「今週の土曜日オフなんです。秀徳もその日はオフですよね」
「いやいや待て、ちょっと待て。てか何でウチのオフの日とか知ってんの?!」
「高尾君のことならだいたい知ってます」
相変わらずの無表情でそう告げられると、それが当然のように思えてしまう謎の心理。
「マジか」
「はい」
「じゃあ知ってるわな、オフの日」
「馬鹿め、簡単に言いくるめられてどうする!」
「ッいってえ!真ちゃん叩くことないっしょ!」
「それに黒子。土曜は高尾はオレと過ごすのだよ」
え。それ初耳だけど。
思いっきり頭を叩かれ我に返る。隣を見ればご立腹のエース様。
つーか何でそんな怒ってんの。
わけが分からずとりあえず痛む後頭部を擦りながら黒子を見れば、僅かに眉を寄せている。
だから何でそっちも不機嫌なの。
「緑間君、僕の大切な高尾君に暴力を振るうのはやめてください。もし頭が悪くなったらどうするんですか」
「な……!」
「まさかの正当な意見!?てかオマエのってなに!!?しかも最後ちょう失礼!!!」
予想外すぎる発言にもうツッコミ追いつかない。真ちゃんは真ちゃんで絶句してるし。
読めないヤツだとは思ってたけどここまで不思議ちゃんだったっけ。
混乱で事態の収拾に着手出来ずにいたら、硬直から解放されたらしい真ちゃんが口を開いた。
「……っオマエに言われずとも、高尾のことはオレなりに大切にしているのだよ」
「は?」
「そうは見えませんが。いつも下僕のように扱って」
「それは……っ、高尾が嫌と言うなら無理強いはしない」
「え、そうなの?」
それも初耳だけど。てかオレ大切にされてたんだ。愛故のパシりとか罵倒だったんだ。
何となくわかってたけどほんとにツンデレだったんだね。
「では高尾君に聞きますが、休みの日に彼に会いたいですか?」
チラリと真ちゃんに視線を投げる黒子はすっかりいつもの無表情だ。
「え?いや、そりゃ呼ばれりゃ行くけど……オフだからこそゆっくり一人の時間を過ごして欲しいってのはあるかな」
「だそうですが緑間君」
「……っ高尾がそう言うなら土曜は無理に会わなくてもいいのだよ」
「というわけで高尾君の予定が無事なくなったので、土曜日、僕とデートしてもらえますか」
「おー、りょうか……い、?」
あれ。
いまナチュラルに頷いちゃったけど、何かがおかしいような。
「ありがとうございます、高尾君」
でもま、なんか黒子がスゲー嬉しそうだし。いっか。
(!く、黒子ォ……!!)
(人事を尽くしてみました。まさか緑間君ともあろう人が前言撤回なんて、言いませんよね?)
(13/2/9)
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