突撃、隣の。
丑三つ時。
隣のベッドから高尾が動く気配があった。
トイレか何かだろうと気にもしなかったが、しばらくして不意に自分の寝床に第三者が潜り込むのを感じ驚いて目を開ける。
「……、ん……」
「……ッ」
体を丸めるように寄り添うのは間違いなく高尾で。いや正直、同室のコイツ以外の何者でもないのは分かってはいたがオレが寝惚けている可能性も捨てきれない。
そう自分に言い聞かせるように、そっとその頬に触れた。
「、んぅー……」
くすぐったそうに掌から逃げると顔を隠すためか更にオレの方へと近づく。
ちょうど左腕のところに高尾の頭が触れて。密着する肌に自然と顔に熱が集まるのを感じた。
「無防備なヤツめ……」
頭を撫でればふっと腕の辺りの空気が揺れる。
少しだけ覗き込むと、いつも以上に気の抜けた笑みが目に入り思わず息をのんだ。
「し、んちゃ……」
「!!」
名前を、呼ばれた。
ただそれだけのことで酷く動揺して鼓動が早まる。視線を反らせない。
食い入るように見つめていたら、高尾がまた口を動かすのが分かった。
「んー……その……ラッキーアイテム、は……ないわー……」
「どんな夢を見ているのだよ……」
寝ている相手とわかっていつつも思わず突っ込んでしまう。
脱力するオレをヨソに、へらりと笑う高尾はどうやら本格的に眠りに入ったらしく。
心地好さそうに寝息を立て始めた。
(その後オレが朝まで眠れなかったことなど、)
(言うまでもない)
(13/2/19)
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