宮地サンの眼鏡と人生とか色々


(※視力云々に関する設定捏造)









「眼鏡、だと……!?」

「あ?いきなりなんだよ」

「いや眼鏡姿初めて見たんで分かりやすく驚いてみました」





そう言えば呆れたように笑う宮地サンの顔には、見慣れないレンズが鎮座している。
真ちゃんとはまた違った細身のなんか仕事できそうな男の眼鏡。いやこれあくまでイメージだけど。

よく女子が何かにつけて眼鏡はステータスだとか言ってたのが少しだけ分かった気がした。
眼鏡は胸キュンアイテムだわ。





「度は入ってんすよね?宮地サン目ェ悪かったんだ」

「少しだけな。軽い遠視」

「えっ」

「?何だよ素で驚いた顔して」

「……いや、遠視って大変って聞くんで」





眼精疲労とかなりやすいって聞くし、肩凝りとかも酷いらしいし。





「だから軽いって言ってんだろ。心配されるほどのもんでもねーから」

「それならいいんですけど……」





肩くらいなら揉みますからいつでも言ってくださいねって言えば何かイヤそうな顔された。





「……つうかさ、オマエの方がどうなん?」

「え?なにがっすか」

「鷹の目。なんかスゲー疲れそうな能力じゃね?」

「ああ……意外と慣れたらそうでもないですよ?定期で眼科には通ってますけど」





子供のときから何となく人には見えないものも見えてるような気がしてたから。
割りと正直に親に話せばすぐに眼科につれてってくれて。別に眼球に異常があるわけでもないけど、まあ人とは少し違う視覚だし何があるかは分からないから定期検診には行ってるという訳。





「何があるか分からないって……それリスク高過ぎじゃね?」

「いや、言っても別に意識して使い分けてるわけじゃないですし。それに自分の体に備わってるもんですからねー、気長に付き合ってかないと」





ぱちぱちと目を瞬かせると、少し驚いたような宮地サンの表情が見える。





「オマエって……変なとこ達観してるよな」

「そんなことないですよ」





きっともしこの視野が失われて鷹の目が使い物にならなくなったらもう死にたくなるだろうし。
でも、視えなくなったらなったで新しい生き方を探すだろうか。それとも、バスケを諦めずにいられるだろうか。





「オマエの生き方って、楽そうなのか苦しそうなのかわかんねえわ」

「ははっ、どうなんですかね?」





そっと宮地サンが机に置いた眼鏡を見て、真ちゃんのことを考える。
オレはきっとアイツのようには生きれないし、たぶん、アイツもオレみたいには生きれないんだと思う。

それはきっと宮地サンにも言えることで。
人生なんて、それぞれが持って生まれたもんをどうするかだ。





「あ、でも一個だけ確実に言えることがあるとしたら」

「何だよ?」

「オレ、秀徳に来てよかったってことです!」








(まさか宮地サンの眼鏡トークからこんな真面目な話になるなんて……)
(オレも吃驚だよ。まあいいこと聞けたけどな)



(13/2/13)



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