緑間と今を共有







今日は好きでも、明日はどうなるかなんてわからない。
そんな不安定な感情の境目で、オレたちは時間を共有している。

未来とか、先のことなんてわかんねーよ。
でも、今のオレが持ってる感情は全部オマエにあげるから。








「真ちゃんってオレよりお兄ちゃんなんだよなー」

「……は?」

「え。なにその顔」

「いや、……別に何でもないのだよ」





七月生まれの真ちゃんはオレよりも四ヶ月もお兄ちゃんなんだぜ。
もっかいそう言えば今度こそほんとに驚いた顔をされた。
だから何なのその驚き。どこにびっくり要素あったの。お兄ちゃん発言?





「……。オマエのような喧しい弟など願い下げだ」

「え。ひどい。きっと毎日楽しいぜー?真ちゃんみたいなお兄ちゃんならオレ添い寝とかしちゃうかも」

「はっ??」

「お兄ちゃーん、一人じゃ寂しいから一緒に寝て?なんてな」

「……ッ」





あらま。冗談なのに照れちゃって可愛いこって。
軽く笑って「なんなら兄弟じゃなくても添い寝くらいしたげるけど?」と告げれば更に顔を赤くさせて「バカを言うな!」と怒る真ちゃん。
照れ隠しなのバレバレだからね。

緑色の瞳が動揺で揺らぐのを見つめて、フッと笑みが溢れる。





「でもほんと、兄弟だったらよかったかもなー」

「?……意味が分からないのだよ」

「だって」





兄弟なら、ずっと、死ぬまで兄弟という繋がりが在り続けるだろ?

ぽつりと溢れたのは。
限りなく本音に近い言葉で。
頭のいい真ちゃんならきっとオレの含ませた“何か”に気づいただろう。





「なーんて、真ちゃんが兄ちゃんだったら毎朝おは朝チェックからはじめないといけなくて大変……」

「それでもオレは、オマエと兄弟などにはなりたくない」

「……え、」





真顔で放たれた言葉はあまりに予想外だった。






「高尾……オマエとこういった形で出会い、繋がりをもったことはオレにとっては定められた運命だったのだよ」

「……っ」

「そしてこれからこの繋がりが切れることのないよう、オレは人事を尽くすつもりだ」

「真ちゃん……」





だから、最初から永遠を約束された繋がりなどなくてもいいと。

真ちゃんは笑った。








(共に今を生きよう)



(13/2/12)



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