いただきました









「高ちーん、何か食うもんちょーだい」

「わり。今なんも持ってないわー」

「紫原、なぜ高尾が何か持っている前提なのだよ。あとオマエも何を素直に謝っている」

「あ、つい条件反射で」





休憩中に高ちんのとこに来たらやっぱり緑ちんが近くにいた。けど今日は気にせず話しかけてみる。
高ちん変なとこ素直だよなーと思いながらその黒髪をくしゃくしゃしたらキョトンと見上げられた。あ。上目遣いかわいい。





「なっ、なにをしている紫原!」

「なにって見てわかんないの?緑ちんメガネしてるくせに見えてないの?高ちんの頭撫でてんだけど」

「それは見れば分かる!なぜ撫でる必要があるのか聞いているのだよ……!」

「必要とか難しいこと知らねーし。撫でたいから撫でてるだけだし」

「紫原ァ……」





もーわかってたけど緑ちんうるせー。何でオレがすることにいちいち色々言われないといけないわけ。
ちょっとムカついてきてたトコに高ちんの髪に触れてた手がいきなり掴まれる。一瞬びっくりしてそっちを見たら高ちんがオレの手を握ってたからよけいビックリした。





「紫原、オレ、飴持ってたわ!」

「へ?」





にっこりと見上げてくるから首を傾げる。めっちゃいい笑顔。
何か言う間もなく「ちょい屈んで屈んで!」と催促されて、オレは高ちんの目線まで身体を折った。
ちょっとキツいけど我慢。





「ほら、口開けて」

「ん?こう??」

「そうそう。はいあーん」





完璧に油断してた。
まさか高ちんからあーんしてもらえるとか思ってなくて、口に放り込まれたあめ玉を思わず飲み込むとこだったしあっぶねー。

コロリと口の中で転がるあめ玉が甘くて自然と笑みが浮かぶ。
ふと顔を上げたら、隣で緑ちんが固まっていた。口、開いてるけど。





「高ちんありがと」

「ん。でもお腹すいてるからって人に当たったらダメだかんな?」

「うん」





悔しいから緑ちんに謝ったりしないけど、ちょっと優越感。





たまにはこうやって味見、してもいいよね。








(高尾ォ……!)
(え、なになになんでキレてんの真ちゃん?!)
(高ちんまたあーんしてね)
(え、あ、いいけど)
(何を安請け合いしているのだよ!!)
(もー緑ちんうるさいしー)
(ちょ、デカいの二人で囲まないで!)



(13/2/8)




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