宮地サンが鈍すぎる







「バレンタイン無くなんないかなー」

「なんだ、オマエもしかして女子からもらえねーの?」

「ように見えます?」

「見えねえのがムカつくわ」





いきなりため息とかつき出すから聞いてやったのに。ドヤ顔で聞き返してんじゃねえよ。

確かにバレンタインなんて女子も男子もやたらソワソワして鬱陶しいイベントだ。
でもだからといって高尾は別に女子にモテないわけでもなければ、甘いもんが嫌いなわけでもない。はず。





「?……オマエ甘いもん嫌いだったっけ?」

「いやフツーに好きですよ」

「ならいいじゃん、タダで食うもん貰えるならなんぼだろ」





そう言えば不満そうにこっちを振り返るからますます意味がわからない。何が気にくわねんだっつの。





「だって宮地サンもいっぱいもらうでしょ」

「貰えねーように見えんの?」

「見えるから言ってんすよ!」

「だからオマエは何がヤなわけ?」

「……」





そこで黙るのかよ。わかんねーよ黙ってちゃ。





「言ってみろよ」

「呆れられるからヤダ」

「ヤダじゃねー、言え」

「宮地サンぜったい笑うからムリ」

「……轢くぞ」





そっぽ向いて目を合わせない高尾の顔を両手で鷲掴みにしてムリヤリこっち向かせる。
抗議の声を上げられたから思いっきり睨んでやった。

しばらく考える素振りを見せたがどうやら諦めたらしい。渋々と口を割る。





「……宮地サン、モテるじゃないですか」

「まあな」

「否定しないし……」

「事実だかんな」

「だからバレンタインとか嫌なんですって」

「オレがモテることとバレンタインがどう繋がるんだよ?」

「もー……ここまで言ってわかんないとか宮地サン鈍すぎありえねー」





オイコラ先輩に向かってありえねーってどういうことだと文句を言おうとしたけど。
高尾の次の言葉で、オレの頭はフリーズした。





「宮地サンが女子に囲まれてチョコ受け取ってるとことか、見たくないんすよ」

「……は?」

「だーかーらー、ただの嫉妬!」





コイツ。

なに突然カワイイこと言い出してんの。





「高尾」

「なんですか?鈍ニブの宮地サン」

「うるせーよ、いいからこっち向け」

「嫌です」





ああ、もうくそったれ。

もう一度顔を鷲掴んだら今度は困ったような顔と出合う。
ほんと。こんなときに可愛い顔とかしてんじゃねえよオマエは。





「どんだけ女子に囲まれててもどーせオマエのことしか考えてないんだから。細かいこと気にしてんなよ」

「……ッ」





そのままその主張されたデコにキスを落とせば、すぐに赤くなる。





「……宮地サンって鈍いくせにきめるとこキメてくるからタチが悪い……」

「あ?なんか文句あんのか」

「いーえ!満足です!」





そうして返ってきた頬へのキスにお互い笑い合うのはすぐ後の話。








(チョコの代わりに現金くれりゃいいのにな)
(……宮地サンそれはさすがに色々と最悪だと思う)



(13/2/6)



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