緑間と確かめ合う





好きって感情に際限がないなら、オレはこのままどこまでいくんだろうな。








「真ちゃん」

「?どうした」





名前を呼べば振り返ってくれる。
手を取れば握り返してくれる。
身を寄せれば抱き締めてくれる。
求めれば愛をくれる。





「しーんちゃん」

「……だから何なのだよ」

「へへっ」

「そこで笑う意味が分からん」





こうして隣にいて。幸せだなあ、って思う。
不器用なエース様だけど、ちゃんと返ってくる感情を受け取れるから。
不安とか言い出したらきりがないけど。その度に確かめたらいい。





「真ちゃんはなかなか“すき”って言ってくんないけどさ、目は口ほどに、ってよく言ったもんだよね」

「……言葉が、欲しいのか」

「ううん、いらない。欲しくなったら言うし」





広い胸元に身体を預けて、体温を感じる。





「ねえ真ちゃん。オレが、意味わかんないこと言い出したら……ちゃんとオレを置いてってね」

「……は?」

「すきの感情が迷子になったらさ、きっとオレは真ちゃんを困らせるだけの存在になっちゃうから」

「高尾」





なんとなく、分かる。
ちゃんと自覚はある。

この感情が依存にすら近いものだって。

それが真ちゃんの負担になるようなことがあれば。
“そのとき”がきてしまったら。





「バカめ、だからオマエは駄目なのだよ」

「え」

「オレがそう易々とオマエを迷わせると思うのか?」

「……っ」





強く手首を掴まれる。
遠慮なんてないくらいに、強く。

そうして合わされた視線は、優しかった。





「オマエがオレを必要とするように、オレにもオマエが必要だ」

「し、んちゃ……」

「迷いかけたら、互いに道を引き戻し合えばいいだけの話なのだよ」





もう、ほんとに。
オレの相棒様は。





「これ以上すきになったら、ほんとどーしてくれんの……」

「好きに際限はないだろう。幾らでも好きになればいい」





そうして、もっともっと夢中になればいい。





そう願うのは。

お互い様みたい。








(すき、だいすき)


(13/1/28)


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[mokuji]

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