怪我には気をつけて






「あ」





ボタッと、音がしたからちょっと笑えた。

フロアに落ちた赤い液体を他人事のように見てたら、慌てて駆け寄ってくる水色の影。





「高尾君……っ、これを」

「おー、黒子さんきゅ」

「歩けますか?目眩は?」

「ヘーキ」

「じゃあこのまま医務室に行きましょう」





渡されたタオルをこめかみに当てて。引かれるままに歩き出す。
わり、ちょっと待ってと立ち止まって振り返ればなぜかオレより顔面蒼白のエース様と青峰。





「ちょ、二人とも大丈夫?」

「だ、大丈夫じゃないのは、オマエだろう高尾……!血が、」

「高尾……!わる」

「謝んないのって青峰、たまたま掠っただけだから」





プレイに夢中になってて怪我とかよくある話だし。別に見た感じより全然痛くねーし。
血が出たのはさすがにちょっとびびったけど。

へらりといつものように笑えば、また腕をクンと引かれる。





「和成。早く医務室に行くんだ」

「あー、悪い中断させちまって」

「それは特に問題ではないよ。とにかく早く治療を受けてこい。テツヤ、任せていいな」

「はい。行きますよ、高尾君」






赤司にまで促されたら行かないわけにもいかない。
とりあえず「いってきまーす」と手を振ったら、赤司と緑間に呆れたようにため息をつかれた。

去り際に見えた青峰の表情だけがちょっと気になったけど。








「血、止まりましたね」

「頭のとこだったからなあ、大袈裟に出ちゃっただけっしょ」

「それにしても高尾君はもう少し自分のことを大切にするべきだと思います」

「えーそうか?」





医務室で簡単な治療を受けて椅子で休んでたら、黒子からさっきの真ちゃん達みたいな視線をもらった。

オレ、ちゃんと自分のことも大事にしてるつもりなんだけど。
決して善人じゃないし、ヤなこととかは避けて通るタイプだ。怪我だってもちろん出来るならしたくねーし。
でも。





「バスケ中に起こることは仕方ねえわ」

「え?」

「好きでやってることだからさ。そこは皆おんなじだろ」





何かあっても故意じゃないってことくらい分かってる。





「だから青峰も気にすんなー」

「……ッ、オマエ気づいてたのかよ」

「見えてたから」





渋い顔でドアから顔を出した青峰に笑いかければ「鷹の目まじ厄介な」と眉を寄せられる。





「いえ、青峰君。今のは僕にも見えてました」

「はああ!?まじかよ!!」

「そこのドア、磨りガラスですよ」

「あ」

「ブフォ!!」

「高尾ォ笑ってんじゃねーよ!!」





こうやって、バカみたいに笑って、話ができるのがやっぱいちばんだと思う。





人生楽しんだもん勝ち、だろ?








(でもやっぱ何かさせろ。オレの気が済まねー)
(えー?別にいいって)
(じゃあ一日、高尾君に近寄らないというのはどうですか?)
(だが断る)



(13/1/28)




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