柔らかい線上に立つ
「青峰」
「おー何だァ、緑間は一緒じゃねえの」
「ふはっ。四六時中一緒なワケじゃないからね、オレら」
「そぉーか?」
何か常ひっついてるイメージあっけど。
そう言えば高尾はまた笑った。
コイツはなんか、アレだ。
テツに似てる。
喋り方とか雰囲気とかはむしろ反対だが、なんつーの?
醸し出すものが。目に宿る色が。
純粋に、バスケを楽しむ姿が。
最初はとくに気にもしてなかったけど。最近は気づけば視界に入ってるようになった。
「相変わらずスゲーのな」
「あん?」
「いや、青峰のバスケ」
ボールを弄りながら高尾を振り返れば、まっすぐにこっちを見つめてて。
何となく気恥ずかしさを隠すのに、オレはコートに視線を落とした。
「見惚れてんなよ」
「見惚れねー方がムリだわ」
「……ッ」
からかいの色を含ませた言葉に返ってきたのは。
あまりにも予想外なもので。
なんつーことを平気で言ってやがると思わず高尾を見れば、少しだけ照れ臭そうに視線をさ迷わせていた。
「……オレにとって、オマエらのプレイはいつだって目を奪われるものだよ」
小さく呟かれたセリフは、すとんとオレのなかに落ちてきて。心が温まるようなムズ痒いような変な感情が渦巻く。
「惚れんなよ」
「ぶはっ!惚れはしねーから安心しろって!」
笑う高尾にボールを投げれば、さすがに素早く反応して受け取った。
ニヤリと口角が上がって、瞳が鋭く光る。
そして、放たれたパスは綺麗な線を描いて。
(二人を繋ぐもの)
(13/1/21)
[ 138/284 ]
[mokuji]