宮地サンに相談







「コイビトじゃないけど、ヤることはヤっちゃった仲ですからねー」

「…………は?」





ぶっちゃけ緑間と仲良すぎだろ。と半ばバカにするように言ったオレに、高尾は笑ってそう告げた。

へにゃりと気の抜けた面。
頭おかしーんじゃねぇかコイツと眉を潜めれば、それは苦笑に変わる。





「オマエ、ホモだったのか」

「ちょ…どストレート過ぎでしょ!」

「いやつーかオマエ、こないだ彼女できたっつってたろ?」

「ハイ、既に破局しましたけどね!!」





ケラケラと笑ってっけどなオマエ。ここ、笑うとこじゃなくね?しかもそれ以前の内容うっかりスルーしちまいそうになったけど。





「……緑間とヤったのかよ」

「真顔で聞き直さないでくださいよー、和成照れちゃう!」

「うぜぇ聞かれたことだけに答えろ轢くぞ」

「ブファ…!宮地サンまじ暴君すぎ……!!あ、ちなみにオレの新境地、真ちゃんに開拓されちゃいましたー」

「あ?」





なんでそんなフツーにしてられんだよ。意味わかんねぇよ。



つか、オマエ、それまさか緑間に抱かれたってことか。





「なんかアイツ、オレのこと大好きらしくて」

「……好きって言われたから抱かれましたってどんなクソビッチだよテメーは」

「いやいやいや……えっとー、なんていったらいんだろ……」





考え込むように天井を仰ぐ高尾が、何故かすげえ切なそうに見えて。
オレもヤキが回ったのかと頭を抱えそうになった。

とりあえずムカついたからド突いといたけど。





「いって!殴ることないのに!」

「るせー」

「……、宮地サン」

「……ンだよ」





少しだけ声のトーンが落ちる。

鷹の目を持つ高尾の鋭い眼孔が、虚を彷徨って。
ここにはいないアイツを見てんだってことがすぐに分かった。





「オレ、周りから見たら頭おかしいのかもしんないけど……別に情とか、雰囲気に流されたワケじゃないんすよ」





ぽつりと溢された声は小さくて、咄嗟に聞き逃さないように聴覚に意識を集中させてる自分がいた。





「緑間のすきとオレのすきはたぶん違くて、それは十分わかってるけど……アイツの望みは、オレにできることなら叶えてやりたくて」





それは高尾なりの緑間への敬慕の意思表示なのかもしれない。
オレには、世間には、理解できないそれ。





「だから、緑間に求められたらオレは何度でも抱かれるんだろうなあって」





応えらんねー愛に対する答え、ってことかよ。





「なーんて!すんません唐突すぎましたよね!」

「……」





そして、オマエはまた笑うんだ。





「なんか宮地サンならちゃんと聴いてくれそうで、つい甘えちゃいました」





オレの根底とか全部をひっくり返し兼ねない笑顔で。










(好きとか、認めねぇ)
(だれが? だれを?)



(12/12/29)




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