緑間が医者になる


(※未来設定)






「真ちゃん……何か……コスプレみた……いだッ!!ちょ、カルテの角で叩くとかこの鬼畜医者!」

「オマエが変な発言をしようとしたのを阻止しただけなのだよ」

「えーだって本心だし……ってちょい待ち、カルテ構えるの待った!!」





今年、真ちゃんがめでたく医者デビューしました。
詳しいことはよくわかんねーけど研修医の期間が無事終わって、やっとこホンモノの医者になったんだそうだ。

なんか「研修医の間は絶対会いに来るな」とか理不尽な宣告を受け、オレは緑間欠乏症と闘いながら2年を過ごしたワケ。

そして待ちに待った再会の約束をしてた日、真ちゃんを迎えに病院に出向いたら。
白衣姿で出迎えてくれたのだ。

はじめて見るその姿と、会えた喜びで思わず飛びつきそうになったのを堪えた自分を褒めてやりたい。





「しかしまじ長かったわーっ、2年間長かった!」

「……ああ」

「でも……真ちゃん、おめでと」

「ああ」





無愛想なのは相変わらずみたいだけど。オレの言葉にわずかに表情が和らいだのが分かった。

変わらない、空気感に。
オレも無意識に頬が弛む。






「真ちゃん……会いたかったんだよ、オレ。ほんとに、会いたかった」

「……っ、オマエは……本当に変わらないな」





ぐ、と強く腕を引かれたと思えばそのまま歩き出すから。慌てて足を動かした。





「ちょ、真ちゃん?荷物とか、着替えは……っ?」





駐車場の方に向かっているのが分かって声を掛ける。

放った言葉に真ちゃんは急くような表情で振り返って。





「そんなものは後でいい。とりあえず高尾、抱き締めさせろ」

「はぁぁぁっ?!」





真顔で告げられたセリフにド肝を抜かれる。

あれ?この人ほんとに緑間サン家の真ちゃんだよね?
そんな熱烈なセリフぶっこくようなヤツだったっけ??

二の句が告げないオレに緑間が小さく笑った。





「会いたかったのが、自分だけと思っているのか?」








ああ。



コイツは、もう。



白衣効果も相まって、キラキラと輝いて見えるその姿にオレはもう降参するしかない。





「真ちゃん」






大好きだよ。










(てか受験のときも国試のときもフツーに会ってたのに、何で研修期間だけはダメだったの?)
(……研修医は専門分野を決める大事な期間だからな……それに、)
(それに?)
(この姿は、本物の医者になったときに見てもらいたかったのだよ……)
(……ッ。もー…真ちゃんのバカー…)
(はっ?)



(13/1/18)




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