火神君と過去のヒカリ
特別だったワケじゃない。
そう言ってしまえば嘘になるんだろう。
彼は眩い光。
目を反らすことを許さないほどに強く、煌めく。
だけどいつからかその光は強さを増し孤高に輝き。温かさを捨て、冷たくギラつきを帯びていった。
僕はそのあまりの光の冷たさに凍りつき、身動きが取れなくなってしまったんだ。
だから。
離れた。
「黒子?」
「……!火神君、どうしたんですか?」
「いや、どーしたって……オマエの方がどうかしたのかよ?」
人の顔を見たまま固まって。
そう困ったように眉を寄せる彼が、今の僕の光だ。
脳裏に過るかつての光は、今はもう僕とは違う道を進んでいる。
それは自ら選んだ選択で、後悔はしていない。
火神君は僕を自由にさせてくれる。
強く熱く光としてそこに在り、影を際立たせてゆく。
凍りついた身体を溶いて、熱くさせる。
「いえ……バスケが、したいな、って」
「は?」
きっと。
彼がいれば。
僕はかつての光から目を反らすことなくいられる。
一人じゃないから。
強くなれるんです。
(それをキミにも知ってほしい)
(ヒトリにならないで)
(13/1/17)
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