黄瀬くんとボーイズトーク10



(高尾くんと黄瀬くんシリーズ)





現在、由々しき事態が発生してるっス。



高尾っちが落ち込んでいる。っぽい。
けど、明らか態度に出てるワケでもなければほんとに些細なことだけど、なんとなく笑顔に元気が足りないというか……その程度で。
こういう時は、どうしたらいいんだろうか。








「あ、あの……みかん!」

「へ?」

「みかんシェイクが今期間限定で発売中なんスよ!オレ奢るから飲んでみないスかっ?」

「え、うん。てかお金は出すって」

「あ、ハイ」





じゃあオレ買ってくるわー、とナチュラルに立ち上がってレジに向かってしまった高尾っちの後ろ姿にオレはガックリとテーブルに突っ伏す。
さりげなく元気づけようと思うのに上手くいかない。
いつも相談に乗ってくれるのに。オレは何も返せてない気がする。





「黄瀬くん。どーかした?」

「あっ、な、何でも……っ」

「何かあったなら、聞くけど」

「……ッ」





しばらくして両手にシェイクを持って戻ってきた高尾っちが、オレに笑いかける。
それはあまりにも自然で、なんか泣きそうになった。





「高尾っちこそ……っなんかあったなら、オレに話してほしいっス!!」





勢い余って思ったより大きな声が出てしまう。
びっくりして固まっちゃった高尾っちにわたわたしてたら。





「ふはっ、黄瀬くん……っ声、でか……っ」

「ちょ、笑わないでくださいよ〜っ!」

「てかちょう注目されてるし……変装の意味ないじゃん……っ」





笑いながら手にしていたシェイクをひとつオレの方に置いて、高尾っちは向かいの席に座った。





「あ〜……なんかごめんな?オレさ、悩みとか人に上手く相談できないんだよ。それに自分のなかでぐちゃぐちゃになってること話すよりか、こうやって楽しく過ごした方が有意義だし」





だから。と高尾っちは笑う。





「黄瀬くんはいつもみたいにキラキラ笑っててよ」

「高尾っち……」

「ね。お願い」

「……了解っス!でも、どうしても一人でムリなときは……っ」

「うん。黄瀬くんに話す」





笑うことで、少しでも元気になるなら。

オレはいくらでも笑うから。





だから。早く高尾っちがいつもみたいに笑えますように。








(お。みかん美味い)
(あ。ほんとっスね)



(13/1/15)




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