宮地サンに悟られる


(※未来設定)
(※緑←高←宮)





「終わっちまったな」

「……」

「オラ、なに泣いてんだっつの」

「っみ、宮地サン?!てか泣いてませんよ!」





卒業してからもなんやかんや付き合いが続いていた、オレらが三年のときの一年……高尾と緑間。
で、今日は緑間の結婚式だった。

あの偏屈野郎が結婚とか色々大丈夫か?と招待状を送りたい旨の連絡が来たときから不安でしょうがなかったが。
わざわざ挨拶にきた嫁と、今日の式を見てたら、ああ、大丈夫だわコイツらってすぐに納得した。
幸せそうな顔しやがって。



でも何より、友人代表スピーチで会場の笑いと感動を誘っていた高尾が不意に見せた感傷的な表情が。オレの脳裏に焼き付いて離れなかった。



二次会へ向かう道すがら、ひとりボーッとしていた高尾に声を掛ければ。
驚いたように振り返ってきた。
確かにその瞳は濡れていなかったけど、なんとなくオレは高尾が泣いているように思えたんだ。





「宮地サン、新郎の話聞かずにめっちゃ食ってたっしょ?」

「あ?なんでオレが緑間のノロケなんて聞かねーといけないんだよ」

「ぶはっ、招待された人間の態度じゃねえ」





オレの存在に気づいた高尾はいつもの調子で喋りだす。
それがなんとなく気に食わない。

歩き出そうとしたその腕を掴めば、驚いたようすでこっちを見つめてくる。





「みや……」

「緑間に言ったのか?」

「……っ」





微かに息を飲む音が聞こえた。

へら、と笑おうとした高尾だったけど、それは失敗したらしい。
くしゃりと歪んだ表情に、ヤツの本心を確信した。





「後悔すんぞ」

「……んなこと、わかってますよ」

「じゃあ……」

「でも、いいんです」





今度こそ。

高尾は笑った。





「真ちゃんが幸せなら」





その笑顔は、ムカつくくらい穏やかで。

オレはそれ以上なにも言えずに、ただその頭を黙って撫でた。








(今日でさよなら。)
(不器用な恋心)



(13/1/15)



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