黒子と公園






天気がいいから外に出てみたら、思わぬ人物と遭遇した。





「黒子……なにしてんの??」

「あ、こんにちは高尾君」





ふわふわとした雰囲気のヤツがふわふわした動物を連れて公園いるとか。
画的にちょう癒されるんですけど。

黒子の手から伸びるリードの先でちっせえ犬が、わん、と一声上げた。





「2号の散歩を」

「は?2号?……!!つーか、え、なにこの犬っ!黒子激似じゃん!!」

「……はぁ…」

「すげぇ、ウケる……っ!なぁなぁ撫でてもいい?」

「どうぞ」





ちょっと屈んで手を伸ばせば、少しだけ匂いを嗅いでから2号は自らオレの方へと寄ってくる。
鼻を擦り寄せられ、手が擽ったい。

なんか向こうも好意的だし、この際撫で回してやろう。





「おー、可愛いなあオマエ。飼い主様と違って愛想もあるし」

「……」





ピクリと反応した黒子にしゃがんだまま視線を送れば、分かるか分からないか程度のびみょーさで眉を寄せていた。

目が合ったからヘラリと笑ってやると、何か言いたげな表情……つってもほぼ無表情……のままため息つきやがった。
堪えきれず噴き出したオレに黒子は呆れたような視線を寄越すけど、それは別に不愉快なものじゃなくて。

笑いが絶えないままに、自然と言葉が口をついて出る。





「ウソウソ、黒子も可愛いって!」

「…………はっ?」





はっ?て、おま。





「……だぁかーら。黒子も愛想はねーけどちゃんと可愛いぜ、って」





つーか何で固まってんのコイツ。





「……え、聞いてる?」





あまりのノーリアクションに立ち上がって眼前で手を振ると、呆然としていたヤツが素早く距離を取った。
何故か顔を袖口で覆ってるから、表情は分かんねぇけど。





「……高尾君って、たまに恐ろしいことをサラリと言いますよね」

「へ?なにが?つか2号抱っこしてもい??」

「……。抱っこはダメです」

「えーいいじゃん、なんでダメなんだよ」

「なんとなくですが」

「ちょ、おま……!」





すっかりいつもの調子に戻った黒子と、結局その日は日没まで一緒にいたんだけど。
って翌日真ちゃんに報告したらめっちゃ面白い顔したから、激写して黒子に送ってやった。





バスケのコート内だとやっぱあれだけどさ。
普段の黒子はけっこう好きだわ、オレ。

そんなことを改めて思った日曜の午後の出来事。










(犬とオマエとオレ)



(12/12/29)



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