宮地サンに凭れる






練習試合の移動が電車なんてだりー……とか思ってた数時間前のオレまじ爆発しろ。

そんなオレは現在。
肩にもたれてくる高尾の体温を感じながら、なるべくそっちを意識しないように木村の特に面白くもねえ話に集中しろと自分に言い聞かせていた。





「……あれ?つーか高尾、寝てんのかよ」

「ははっ、宮地の肩で寝るとかよっぽど疲れたんだな」

「大坪うるせー」





こっちを覗き込んでくる二人を阻止しつつもなるべく動かねーように気をつけてたら、少しだけ高尾が身動いだ。

起きる、か?と思ったけど、様子を窺えば気持ち良さそうに寝息を立てている。
こんだけうるせーのによくもまあ寝てられるな。





「大坪ー。案外、宮地になついてんだぜ?高尾って」

「は?」





不意に木村が溢した言葉に、大袈裟に反応してしまう。
高尾は普段、オレのこと怖がってあんま近寄って来ねえのに。さっきだって恐々とした感じで隣に座ってたし。“なついてる”って何だよ。初めて聞いたぞ。





「そうなのか?」





大坪がこっちを向くけど、むしろオレが聞きてーよ。





「宮地が実は影でめっちゃ努力してるとことか、尊敬してるって前に言ってたし」

「……ッ」

「ああ……成る程。高尾はどうしても緑間の陰になりがちだが、結構な努力家だからな」





肩にかかる重さは、決して大きくはなく。むしろオレらと比べたらよっぽどちっせえ高尾。
一年でスタメンに入ることがどれほどプレッシャーなのかは正直分からない。
けどコイツはそれだけの努力をして、かつその苦労なんて微塵も悟らせないでオレたちと肩を並べている。

そんな高尾がオレを尊敬してるなんて。





「……そんなの、知らなかったっつーの……」





ポツリと呟いた声は、コイツに届くことはなかったけど。





「今はゆっくり休ませてやろう」





大坪の言葉に、オレは小さく頷いて返した。








(小さくて、大きな存在)



(13/1/11)



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