緑間が足りない



足りない。

物足りない。



もっともっと、欲しい。








手を伸ばした先におまえが居るのなら、もっと確かなものが、欲しいんだ。





枯渇するような、飢餓のような想いを抱えて、オレは今日も笑っている。










「真ちゃん」

「……何だ」

「キスしない?」

「……っ、高尾……ここがどこか分から無いわけではないだろう」





そうだね。
ここは放課後の教室で、夕日なんかが良い感じに射し込んでたりして。
絶好の告白シチュエーションだね。
そう笑って告げたら分かりやすく冷めた目を返される。
でも真ちゃんのそれは愛があるのが分かってるから平気。

いつからだろうな。
ただ好きってだけじゃ物足りなくなって、こうして時間も場所も問わず試すようにキスやセックスをねだるようになったのは。
言葉なんてね、幾らでも列挙できる。
だから理性がぶっ飛ぶくらいのエクスタシーを求めるのは気違いみたいって?そんな動物的本能に従うなら人間が知性を持った意味なんかない、って真ちゃんは呆れるんだろう。
だけどさ、生産性のないオレらの関係を分かりやすく形で示すなら、これが一番だろ。





「オレのキスは、いらない?」





ねぇ真ちゃん。
理性的な人間気取ってみたところで、ほんとは同じもん引っ提げたヤローに興奮しちゃう変態だって。もう、知ってんだぜ。

ほら、絡みつくように伸ばした指は拒否されない。
それが合意の合図。





「……んぅ、ン、………ふっ……」

「……っ、高尾、」





いいよ。

そのつもりで首に腕を回せば、キスは深みを増す。



真ちゃん。

もっともっと欲しがって。





オレと一緒に溶け合ってよ。








(埋まらない空白。)



(14/4/2)










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