緑間と雪の日の教室








「やば、雪!吹雪!」

「笑い事じゃないのだよ」





窓の方を見つめて目を輝かせる高尾に声を掛けるが奴の視線が動くことはなかった。
その視線の先にはうっすら白くなり始めた校庭。昼前に降り出した雪はその勢いを増している。
このまま降り続けると、帰る頃にはそれなりの積雪になってしまうだろう。
本当に、笑い事じゃないのだよ、高尾。





「うう……寒ーぃ」

「雪が降っているのだから当然だ」

「ね、ね、真ちゃん。積もったら雪だるまつ」

「くらないに決まっているだろう」

「ははっ!ですよねー」





そう笑いながらホットカフェオレを啜る。ふわりと甘い香りがこちらに一瞬届いた気がした。
昼休みも間もなく終わろうとしており教室にもだいぶ人が戻って来たように思う。
特に周りを気にする様子もなく、高尾はいつも通りだ。





「真ちゃんの分はオレが作ってやるよ」

「別に頼んでないのだよ……」

「エース様の指が凍傷にでもなったら大変ですからね〜」





寒そうに手元の缶を摩る高尾にオレは思わず鼻で笑った。





「オレは雪に触れたりしないし指を冷やすなど愚かな真似はしない。故に凍傷などになりはしないのだよ」

「へいへい。さすが緑間」

「それに、それを言うなら」

「あん?」





すぐ近くにあった高尾の指を握り締めたら、びくりと震えたが構うところではない。





「オマエの方がよっぽど冷たい指をしていて、凍傷になりかねん。気をつけるのだよ」

「……はっ?」





ぽかんと口を開けた高尾に。オレはもう一度、鼻で笑った。








(この教室、やたら暑くね?)
(いや原因言うまでもないでしょ)
(((またバスケ部コンビ(あいつら)か……)))





(生暖かく見守るクラスメイトがいたとかいなかったとか)





(14/2/10)




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