宮地サンにやきもち


(※未来同棲同社勤務設定)








ザ・ふて寝。
といった感じで何度か声を掛けても振り返りもしない高尾にそろそろ痺れを切らし馬乗りになったら汚物を見るような目を向けられた。
そういう雰囲気に持ち込めるなら持ち込んでみろよと視線が語っている。気がする。





「まさかと思うけどセックスに持ち込んで誤魔化そうとか思ってないですよね?」

「……」

「わぁサイテー、男としてサイテーっすわー」

「るせ。誰もそうだとは言ってねぇだろ」





コイツ。挑戦的に仰向けになってきやがった。





「何が気に食わなかったんだよ。言わないとわかんねえだろ」

「言わないとわかんないんですか」

「は?」





見上げてくる双眸は試すような、けど何か不安定な複雑な色をしている。何とも言い難い。
思い当たる節を探して記憶を辿って、一個だけそれらしいものが引っ掛かった。





「もしかしてオマエ、オレが遅かったのが気に食わなかったの?」

「……」

「いやでも遅くなるっつって連絡したろ」

「……宮地サンが残ったの、宮地サンじゃなきゃダメだった?」

「……は?」

「だから」




両の手がこっちに伸ばされたと思ったら頬を掴まれ引き寄せられ、一瞬で息がかかるくらいの距離まで近づく。



ああ。と、



その目が訴えたいことがやっとわかって。ふと笑みが零れた。





「アレはただの新人指導だって」

「向こうは「別の事も宮地サンに指導された〜い」とか思ってるかもじゃないですか」

「ブフォ!」

「笑い事じゃないです!……今日は上がりが同じだったから一緒に帰れると思ってたのに……」





コイツはほんと。
何で唐突にこう可愛いこと言うかな。

笑ったのが気にくわなかったのか、唇を尖らせる高尾に触れるだけのキスをしたらカビの生えまくったパンを見るような目を向けられた。





「また誤魔化そうとしてる」

「だから、誤魔化してねーよ」





覆い被さって今度は食い付くようなキス。
そしたら高尾の瞳の不安色が僅かに強まった。





「……、めんどくさい?」





嫉妬とか。

そう小さく呟かれた言葉。



いつもこれだ。ギリギリまで我慢して、言ってきたらきたで勝手に不安になって。
オレが、めんどくさいと思った相手にキスなんざするかっつの。
その色を消すように瞼にまたキスをする。





「めんどくさいとか思わねーから……もっと出せよ」

「え、なにそれ宮地サンったらヤラシイ」

「だれが精液の話した。本音をだっつの」

「わかってるから精液とか言わないでくださいよ何か色々台無し」





重なった視線に、自然と笑いあった。







(そんな夜の二人のお話)





(14/2/3)





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