黒子に電話
(※not黒高)
『つーわけなんだけど、どう思う?』
電話越しに高めのトーンで尋ねられ僅かに考え込む。
「……、高尾君はボクがどう答えるのを期待しているんですか?」
『わー、質問返しはズルいっしょ』
「……じゃあ聞き方を変えます。それは確かに緑間君がキミに好意を持っているでしょうねとボクが言ったとして、キミはこれから彼に対する接し方を変えるんですか?」
『あはは!』
わりと努めて淡々と告げたつもりだったけど、やっぱり彼は笑う。
『ま、変えないよね。でもさ』
「二年間チームメイトとしてやってきた情がある、とかだったら変な情けは緑間君のためにならないと思いますよ」
『あー……うんそうだよなー。アイツの感情スルーしといてそれでも楽しく過ごそうなんて都合良すぎるか』
「徹底して気づかないフリをするならそれはそれでいいかと。何しろ相手は“あの”緑間君ですし」
そっかー、と少しの考察に入る高尾君。ほんとに彼は器用なのか不器用なのか分からない。
巧く周りとの距離を調節しているようで、でも突然見失ったかのように惑う不器用さ。でもそれを悟らせない器用さ。
「高尾君は、本当に緑間君のことが大切なんですね」
ふと零れた呟きはしっかりと彼に届いたらしい。
『そうね。自分でもびっくりするくらい大事になっちゃってんの……だから、なくしたくない。なんてズルいよな、』
柔らかくて、優しい声。
きっと二人のベクトルは向き合っているけれど、その色は決して交わる事はないのだろう。高尾君自身もそれに気づいている。
『何でだろーな。好きなのに、うまくいかないもんだね』
「そうですね」
好きだからこそ、うまくいかない事もあります。
告げた一言に、高尾君は少しだけ寂しそうに笑った。
(好き、と、好き)
(なにが違うんだろう)
(13/12/08)
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