宮地サンに抱き締められる








「宮地サン」

「……んだよ」





夕日みてーな色の目は伏せられたまま此方を見ることはない。居心地が悪いといや悪い空気だけど、離す気は更々ない。
腰んとこに回した手にぎゅ、と力を入れたら背中に回されてる腕にも同じように力がこもった。





「宮地サンのばーか…」

「ああ?」

「オレ、そんな弱くないです」

「おー、そうかよ」

「だから」








甘やかさないでくださいよ。





小さく呟かれた言葉は確かにオレの耳に届いた。
胸に押し付けられた、いつもはヘラヘラしてる顔が今はどんな表情を浮かべてるかなんて確かめようもない。
ただ、迷子みてえな声で、そんなことを言われたら。

オレは。



ますます離す気がなくなるだけだ。





「甘やかしてねーよ」





いい位置にある頭を撫でながら告げたら、はじめて高尾が反応を示す。
ゆるゆると視線を上げた高尾は、やっぱり迷子みてーな顔をしていた。





「……宮地サン?」





不安そうな顔してんな。
大丈夫だ、オレがいる。

そんなこっ恥ずかしいことなんざ口には出来ないから、そっと微笑んで見せた。





「好きなやつをただ、愛でてるだけだ」

「……っ」





カッと真っ赤に染まる頬に手を添えてその額にキスを落とせば、今度は恨めしそうな視線をもらう。

そうやって、オレにだけ、無防備でいろよ。





もう一度真正面から抱き締めたら、腕の中で高尾が小さく「くそムカツクだいすき」と呟いたのが聴こえた。








(いつでも受けとめてやる)





(13/12/2)




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[mokuji]

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