黄瀬くんと運命と偶然の某13








やって来ました秀徳高校。



校門で出会ったのは、元同級生の方で。








「……何の用なのだよ、黄瀬」

「緑間っちに用はねーっスよ」

「では何故ここに居る?」

「……、高尾っちに」

「は?」

「高尾っちに会いに来たんス」




訝しげな緑間っちに告げたら眉間にシワとか寄せられるしもー、オレが何したっつの。





「何故、黄瀬が高尾に会いに来るのだよ……」





そりゃ彼氏だから。とかバシッと言えたらカッコよかったかもしんねーけど、まだ正直よくわかんないから「ナイショっス」と適当に答えとく。
それが更に機嫌を悪化させたみたいで、眉間のシワがもっと増えてしまった。
そんな顔になっちゃうっスよ。





「真ちゃーん、あんま眉間にシワ寄せてっとそゆ顔になっちゃうぜ?」

「……っ」

「高尾っち!」





思ってたことを代弁してくれたのは緑間っちの後ろから現れた高尾っちで。
名前を呼んだら少しはにかむよう(主観)に笑ってくれる。
くっそやっぱ可愛いっス。





「涼ちゃん、どうしたの急に」

「あ、いや、実はちょっと聞きたいことが」

「?」





僅かに考える素振りを見せてから、高尾っちは緑間っちの方を向き直る。
驚くほど自然に。縮まり、重なり合う二人の距離感。





「ごめんな真ちゃん、今日はちょっと家まで送ってやれねーわ」

「別に頼んでいないのだよ」

「そんなこと言ってほんとは高尾ちゃんと帰れなくて寂しいんだろ?」

「五月蝿い黙れ」

「もー連れないんだか……っぅ、わ?!」

「……っ黄瀬、?」








見て、いられなかった。



見ていたく、なかった。





驚いてる高尾っちの手首を掴んだまま足早に歩き出す。緑間っちが何か言ってた気がしたけど、聴こえないふりで。








「涼ちゃん」








振り返らないオレを呼ぶ高尾っちの声はどこまでも優しくて、なんか泣きそうになった。










(もやもや、募り募る)





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