黄瀬くんと運命と偶然の某12








好きになって、好きって伝えて。

両思いになって。

じゃあそっから先は?



…………。

てか。待てオレ。

あれ?オレ。高尾っちに、好きって、言われたっけ?
あれ?や、でもキスされてイヤじゃなかったってことはそういう事っスよね?
そういう事ってつまりそういうこと、っスよね……?

え、誰かそうだと言って!










「嫌悪感は持たれていないのは分かりましたけど、別に好きとは言われてないんですね」

「ああぁぁあぁ!黒子っち!そこ、今まさに!オレが目を反らしたい現実!!!」

「“嫌いじゃない”と“好き”はだいぶ違いますよね」

「いやぁぁぁぁ!!!」





マジバのテーブルに突っ伏すオレに相変わらず(見なくても何となく分かる)クールな視線を向けつつ黒子っちは「テーブル汚いですよ」と告げる。
そっちの心配っスか。





「確認せず帰って来るとか……とんだイケメン(笑)ですね黄瀬君」

「ちょ、今笑ったっスよね?完全に鼻で笑ったっスよね」

「いえ笑ってませんよ」





しれっとバニラシェイクを啜る黒子っち。
いやしかしほんとこればかりは言われても仕方ないっス。
何してんだろオレ。何であのとき、抱きしめた時点で「高尾っちはオレのこと好き?」って聞かなかったんだ。

いや。たぶん忘れてなくても、聞けなかった。

改めて聞いて、実はあっちは友人としての好きでしたーっ。とか言われた日には本気で泣ける。





「でも時間が経つほど、聞きにくくなりますよね。そういうのは」

「……その通りっス」

「……既に聞きにくいんですか?」

「……、その通りっス」





向かい側からため息が聞こえた。





よく考えたら、この人の前でも、オレはあんまカッコついたことなかったかもしんない。





「黄瀬君」

「はい……」





水色の瞳がまっすぐにオレを射抜く。








「ボクからキミに何か言えることがあるとすれば……『さっさと聞いて来い』ですかね」





「……っス」








でも何やかんやいつも助けてくれたり後ろから蹴飛ばしてくれたりするのは、アンタっスね。








(もう一度、いってきます)






[ 181/284 ]

[mokuji]

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -