黄瀬くんと運命と偶然の某11








「……やだもう……オレほんとくそダサい埋まりたいっス……」

「ブフォ……!りょ、涼ちゃん元気出してぶふっ」





ちょ、笑いすぎ。



高尾っちと通話を終えたあと、シャラッと東京に参上したオレだったけど、一回行っただけの高尾っち家の場所なんて覚えてるわけなかった。
何とか秀徳までは辿り着いたんスけど。まぁ、結論からいうと、その後、迷子になった。
で、高尾っちに秀徳近くの公園まで迎えに来てもらうというこのイケメンにあるまじき状況。





「ごめ、……っだって…あんなカッコよく…電話、……っ切ったのに……まっ、迷子とか……うぇっ…」





挙げ句好きなひとに噎せるまで笑われるとか。





「もう……人間やめたいっス……」

「……っごめんごめん、笑いすぎたわ!もうほんと涼ちゃんって天然さんだよね〜」

「高尾っち……」

「そういうキセキだからとかモデルだからって気取ってないとこ、オレは好きだよ」

「……っ」





『好きだよ。』





そのたった一言に激しく動揺してしまう。
当たり前だけど、高尾っちに深い意図が無いことくらい分かってる。
分かってる。のに。






「お……っオレも、好きっス…!」

「へ?」

「オレ、高尾っちのこと……」





落ちていた視線を上げれば、驚きに見開かれる高尾っちの瞳。
夜の暗がりでも霞まない、キラキラした双光に見つめられて自然と頬が熱くなる。





「……高尾っちのこと、好きになっちゃったんスよ」





始まりは、あの日。








それは運命でも偶然でもない何かに導かれるように。





オレの言葉に一度考え込むよう閉じられた唇が、そっと開き、動く。





「……それは、友達、として?」





解って聴かれている、と分かった。





「違うっス。高尾っちと、手を繋ぎたい抱きしめたいキスしたいセックスしたいって思う好き、っスよ」

「……っ、ろ、露骨…!」

「もうカッコつけるのはやめたから」

「イケメンモデルの本気こわい……」

「ときめいたっスか?」





冗談混じりに尋ねれば、困ったように笑うから。
期待が不安を超えていきそうになる。





「……イヤじゃなかったんだよね」

「え?」





唐突な言葉に隣を見れば、足元を見ながら笑う横顔があった。
柔らかい表情は、いつか見た、相棒の話をする彼によく似ていた。





「涼ちゃんからのキス、嫌じゃなかったんだよ」





ぶつかった視線がふわりと緩んで。








オレは思わず、その一回り小さい体を抱き締めていた。








(交わされた想いの言葉)






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