紫原の誕生日


(※大学生設定)









「おめでとうムッくん!」

「へ?」





家に帰ったら高ちんがいた。

しかも満面笑顔だし可愛いし。たまんないんだけど。
え、なにこれどっきり?





「高ちん……、なんで家にいんの?」

「今日はムッくんの誕生日でしょ?だから帰ってきたらお祝いしようと思って、お邪魔しちゃった」

「……」





もうなんなのこの可愛い生き物。同じ人類と思えない。
上目遣いにこっちを見上げてくる高ちんを我慢できずにぎゅーっと抱き締めたら、笑いながら「早く帰ってきてくれて、嬉しい」とオレの背中に手を回してくる。





「言っといてくれたらもっともっと早く帰ってきたのに」

「いいの、オレが勝手に待ってただけだから」

「もう高ちんが可愛いすぎてオレ心臓いたいんだけど」

「えっ?ちょ、だ、大丈夫?!」





本気で心配してくれてるのが分かって口角が弛む。
「高ちんがちゅーしてくれたら治るかもー」とか言ってみたら高ちんが固まった。

え。オレにキスするのそんなイヤなの。傷つくんだけどそのリアクション。

でも高ちんが嫌なことはしたくないしさせたくないからやっぱりいいよ、って言おうとした瞬間。
何か決心したみたいな高ちんの双眸がオレをまっすぐに見つめた。
高めの声が、オレのあだ名を呼んで。





「ムッくん」

「なに?」

「今日は……その、ムッくんの誕生日だから、オレが、えっと、あー」

「……、高ちん、ゆっくりでいいよ。ちゃんと、聞いてるから」

「……!」





何かよくわかんねーけど、いっぱいいっぱいな高ちんに笑いかけてみる。
そしたら力が抜けたのか、ふにゃりと高ちんも笑った。オレの好きな笑顔だ。

思わずちゅーしそうになるのを留めて言葉の続きを待ってたら、笑顔のまま、高ちんが続けた。
衝撃すぎる一言を。








「今日はオレが、ムッくんのこといっぱい気持ちよくさしたげるから、ね」









とりあえずまずは誕生日パーティーしよ!
という続きの言葉はあんまり耳に入ってこないままに高ちんのちっせー体を抱き上げる。





「えっ、む、ムッくん?あの、ケーキ、キッチンなんだけど……え、どこ行くの……え?」

「ベッド」

「はぁぁぁ?!ちょっ、早いって!先にごはん、を……んぅっ」





言い掛けた声ごとそのやわらかい唇をパクリと食べる。
身動ぎする高ちんを腕に閉じ込めたまま、舌を入れて口内を侵してまわったら、すぐに大人しくなった。ほんと、高ちんかわいい。





「高ちんが煽るから、お腹すいちゃった」

「……ふ、ぁっ……っだ、から、……先に、ごはんっ」

「ううん、高ちん食べたくなった」

「……っ」





だから、ちょうだい?










(誕生日プレゼントは、きみ)




(13/10/9)




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[mokuji]

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