黄瀬くんと運命と偶然の某8









よくよく考えたら、誰かをその、すきとか、言って自分から動いたことなんてなかった、オレ。



しかも、相手が男とか。
どうしたらいいんスか。








「知りませんよ。そもそも何でボクに相談しに来たのかがまずわかりません」

「黒子っちぃぃぃ!そんなこと言わないで助けてほしいっス!!!」

「じゃあ告白したらどうですか?」

「無理っスよ!!」

「まぁ高尾君もいきなり黄瀬君から好きとか言われても困りますよね」





こっちを見てくる黒子っちは抑揚のない声でそう告げてから、ずず、とバニラシェイクをすすった。

うん。興味ないんスよね。そうっスよね。





「……黄瀬君は、彼とどうなりたいんですか?」

「えっ」





不意に真面目な声に尋ねられて、黒子っちを見る。
高尾っちとはまた違う、何を考えてるのか掴みにくい空色の瞳が、そっとオレを見据えていた。





「高尾君と、幸せになりたい?彼を幸せにしたい?それとも……キミ自身が、彼に愛されたいんですか?」

「……っ」





いつも黒子っちの言葉は核心をついてくる。
包み隠すことが出来ずに自分を曝け出される。

困った表情をつくれば、すぐに「そのわざとらしい顔やめてください」と冷たく言われてしまう。

ほんとうに、誤魔化せないなぁ。





「まだ、自覚してそんなたってないんスから、手加減してほしいっス……」





今度は心の底からもれた苦笑に、黒子っちは少しだけ呆れたように笑った。





「知りませんよ」









(好きになったら、好きになってほしいって思うのは、)





(13/9/20)





[ 177/284 ]

[mokuji]

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -