黄瀬くんと運命と偶然の某2







オレはホモじゃない。

大丈夫。クラスのアイドル的な女子を見てもモデル仲間の女のコたちを見てもちゃんと可愛いって思うから絶対ホモじゃない。

だから、あのとき、高尾に感じた感情なんて。一時の気の迷いに違いない。





「あの、黄瀬くん、わざわざ秀徳まで来てもらっちゃってありがとうね」





そう、約一週間自分に言い聞かせたはずなのに。いざ彼を目の前にすると無意識に体温が上昇していくのが分かった。

いや、これは、前回あんなことがあったからで。いやあんなことってやったのオレなんスけど。高尾にキスとか(しかも口に)しちゃったのオレなんスけど。





「黄瀬くん?」





なのに何でコイツなんともない顔してんだよ。フツー男にあんなんされたら引くだろ。
いくら忘れもん届けに来たからって会わないだろ。
あと上目遣い可愛いからヤメテ!





「あ、あのこれ、預かってたやつっス」

「あ、うん。ほんとありがと!」





合コンの翌日、クラスメートに高尾が忘れていったらしいちっさめのバックを渡された。
しかも仲良くなったなら届けてくれとか言われてフザケンナ無理に決まってるというか気まずいんだよ察しろよ。
しかしそこは笑顔でオッケーしてしまう悲しい性。
あの時ほど自分を恨んだ日はない。





でも、実際、会えたことに。避けられなかったことに、ホッとしてる自分がいる。





「高尾くん、は」

「ん?」

「あー、と……このあと、暇?」

「え?ああ、部活はオフだよ」





また、屈託ない、笑顔。

どんな神経してんスか。
と思いながらも、オレの口から出たのは、信じられないくらい弾んだ声だった。





「じゃ、ちょっと話でもしないっスか?」





またぱちりと瞬いたあと。
高尾は笑って頷いた。








(繋がる、繋がり)





(13/9/15)



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