キセキと虹の梺の影


(※帝光高尾くん設定)
(※虹の梺に、の高尾くん)








「今回皆に集まってもらったのは他でもない」





真剣な赤司君の様子にもキセキのみんなはもうさすがに慣れた体で彼を見つめた。





「和成のことだ」





ふぅ、と悩ましげに息を吐いた我らがキャプテンに隣に座っていた青峰君が「今度はなんだよ?」と声を上げる。





「赤司っち……もう緊急ミーティングと称するのやめないっスか?高尾っちミーティングでよくないっスか??」

「高ちん抜きで話してもつまんないしー」

「オマエたち……その件に関しては次回考慮しよう」





皆がそれぞれリアクションをとるなか、赤司君が神妙な様子で頷く。
もうこんなのミーティングじゃなくて思春期あるある相談会ですよ赤司君。
思っても口には出さない。





「最近、和成を見ていると上手く言えないんだが、その……動悸がして」

「赤司……それは病院に行った方が良いんじゃないか?」

「緑間君、真顔でとんでも発言するの止めてもらえませんか収拾つかなくなりますから」





そう。
最近のミーティングといえばもっぱら赤司君の恋あ……いや高尾君に対する態度の相談になっている。
正直、どうでもいい。
というか赤司君が高尾君と上手く話せないならそれはそれの方がいっそ都合がいい。
とは口には出さないけれど。





「テツヤはどう思う?」

「…まあ…高尾君が高尾君である限り仕方ない事象だと思います。ボクもたまに高尾君と話していると心臓が痛くなることがありますから」

「テツ……オマエ病院行った方が……」

「青峰君。そういう心配は今要らないので」





ボクの言葉に赤司君が少し安心したように息をつく。

たぶんここにいる皆、自覚があるなしは兎も角似たような体験をしているはずですよね。高尾君を前にして、戸惑いを抱く瞬間が。

静かに告げた言葉に各々が考え込むように黙ったとき。
がちゃり、というドアの音が室内にやけに大きく響いた。





「お疲れー!!って……あれ?またみんな揃ってんの?」

「高尾君」





噂をすれば、というやつで。
ドアを開けた高尾君は顔を突き合わせたボクらを不思議そうな目で見つめたあと首を傾げた。





「皆、難しい顔してどーしたん?何か悩みあるなら相談乗るけど……」

「……いや、何でもないのだよ」

「そうは言うけどね、真ちゃんが一番心配よ?すぐ何でも一人でどうにかしようとするんだから」

「!ああ…」

「何かあったら、いつでも言ってよ!」

「高尾……」

「ん?なあに真ちゃん」





見つめ合いイイ雰囲気を醸し出す二人。
不意に赤司君がボクに視線を飛ばし、次の瞬間指ぱっちんが下った。





「……わっ??」





ボクが高尾君の目を覆えば、無言のまま青峰君と黄瀬君に連行されていく緑間君。
その後に続く赤司君と紫原君が手にしていたものはそっと見ないことにした。

どうやら先ずは一番の強敵(緑)を共同戦線で捕らえることにしたらしい。





「え、ちょっ、何が始まったの?!」

「高尾君」

「黒子?どうした?てか、見えないんだけど」





笑いながらの声音に、そっと後ろから耳元に唇を寄せる。
ボクなら害がないと思って高尾君を任せたのだとしたら、赤司君の人選ミスでしたね。

吐息がかかるくらいまで近づいて、その可愛い耳朶をぱくりと甘噛む。





「ひゃっ!え、ぇっ?な、なに黒子ぉ?」

「高尾君、今日からきっと、みんな遠慮なくいきますので」

「は?」

「まずは、ボクのこと、しっかり意識してもらおうかと思います」

「はっ?え、な」








(切欠を作ったのは、他でもないボクですからね)

(さぁ、ぼんやりしていたら、拐われてしまいますよ?)





(高尾君争奪戦勃発、です)





(13/8/7)



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