火神に相談









「火神、大事な相談がある」

「お、おぉ…いきなりどうしたんだ高尾……?」

「オレ、今日からワイルド系目指そうかと思って」

「ブフォ!」





飲んでた炭酸噴き出した。

突然オレん家を訪ねてきた高尾と今、なぜか一緒に飯を食べている。
いや別に全然構わねえというかむしろ歓迎したのオレだけど。しかし、なんでまたいきなり。





「ワイルド系……?」

「いやさ、こう、オレって女子から『高尾ちゃんかーわいー』とか『高尾くんってほんと話しやすい!』とか言われるけど『男らしい』とか言われたことないんだよね」

「言われたいのか?」

「まぁオトコノコですから?一回くらいは」





くるりとパスタをフォークに絡めながら喋る高尾は、確かに愛嬌があってカワイイと思う。
コロコロと変わる表情は見ていて飽きないし、周りへの気配りや人の容姿や感情の変化にも敏感なのだと黒子から聞いたことがある。
実際、一度ストリートで同じチームを組んだとき、高尾の配慮のおかげで青峰ともうまくやれた。





「高尾は」

「ん?」





テーブル越しにこちらを見てくるその瞳をまっすぐに見つめ返せば。「ちょ、熱視線ちょう照れるからやめて恥ずかしい」と少し茶化すように目をそらす。
こういうところも、カワイイ。





「そのままでいいんじゃねえか?」

「えっ?」

「だから、高尾は今のままで十分周りから愛されてるし、カワイイままの方がオレも嬉しいし」

「…」





何でかぽかんとした表情の高尾に笑いかける。





「オレは今の高尾が好きだぜ?」

「やだなにそれワイルド……」

「ん?」





フォークをそっと皿に置いて高尾が両手で顔を覆う。
その仕草になんかよくわかんねーけど胸のあたりがくすぐったい感じになった。





やっぱり、高尾はカワイイ。








(またご飯食べにきてもいい?)
(おう)
(……、火神に会いに来るだけでもいい?)
(……オマエほんとまじでカワイイな……)





(13/8/5)



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