高尾くんと童話の世界3






お城の舞踏会から数日がたち。

シンデレラはいつものはいすぺっくさを遺憾無く発揮していました。
舞踏会でのご馳走の再現ももはや完璧です。



そんなある日。
お城から王子たちが舞踏会の日に城から消えたガラスの靴の持ち主を捜しに街に降りてきているとの噂を耳にしました。

シンデレラはとくに何をするでもなく、とりあえずいつも通り仕事をこなします。

そして、ついにシンデレラの家に、王子たちがやってきました。





「いるんだろシンデレラ、大人しくだせ」

「いねえよ。帰れ」

「いやいる筈だ、大人しく出さねえと焼くぞ」

「焼くって何を?家か?!……つうかテメエみてーに口の悪い男にアイツは渡さねえよ」





玄関先で言い争う王子と継母。
一方シンデレラは継姉たちに手を引かれ、裏口にやって来ました。





「あれ?これ何展開なんすか?え??」

「高尾、オマエには王子はチャラすぎる」

「え、森山さん?これ話終わんないから!」

「高尾くん、すみません!とりあえず逃げてくださいすみません!!」

「えええ」





「させないよ」





「えええええ」





若干腹筋崩壊気味のシンデレラを余所に、裏口には既に先日シンデレラを家まで送り届けた門番が待ち構えていました。

彼は優雅な仕草でシンデレラに微笑みます。





「高尾君、オレと行こう。キミを王子には渡さない」

「え、ちょっと氷室さん」

「おいで?」





「テメエ、厚かましいんだよ門番のクセに」

「そうよそうよ!顔は綺麗だけど!」





「魔法使いと従者まできたwwwwなにこの超www展www開wwwwww」





門番の後ろから現れた二人に、シンデレラはついに草をはやし始める始末です。

そんな彼j……いや高尾くんを囲むように、王子たちも裏庭にやって来ました。





「高尾、オマエ……まさか王子以外選ぶとかあり得ないよな?」

「宮地サン、もう王子っぽさゼロなんですけど」

「るせー」

「高尾!オマエを嫁に出す気はないからな!」

「ブフォ!かっ笠松サン、それ母親っぽい、ですけど、継母……ッ!」

「ちなみにオレも可愛い高尾を嫁にやる気はないぞ」

「森山さんまで……っ」

「すみません!僕も、いやですみません!」

「桜井、別に謝ることじゃない」

「嫁にならなくてもいいよ、オレと一緒に二人の世界に行けば結婚とか細かいことはどうでもいいだろう?」

「氷室さブファ」

「高尾、魔法使ってやったぶんはちゃんと体で返すんだろ?」

「花宮さん、聞いてないそれ!」

「大丈夫よ高尾くん。私が守ってあげるわ」

「やだ何か実渕サンがちょうカッコイイ」





「「「高尾!!!」」」





高尾くんはこの超展開に腹筋終了のお知らせプレートが脳内で掲げられたのを察しました。








(誰でもいいから、とりあえずツッコミ呼んできて!!)








その後、高尾くんが誰を選んだのか。
それはきっと、高尾くんにしか分かりません。



おしまいおしまい。








(13/7/27)



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