宮地サンが切る、らしい






「いたいいたい!ちょ、なんすか宮地サン!!」





練習が終わって部室に戻ってきたところでいきなり髪の毛を引っ張られた。
慌てて振り返ったら、特に無表情な宮地サンがオレの髪を一房鷲掴んでいる。

え、何なのコワい。狩られそう。むしろ刈られそう。





「オマエ、髪伸びたな」

「口で伝えて欲しかった」

「たまたま高尾の髪がぴらぴら目の前を横切ったから掴んだまでだっつの」

「ぴらぴらって完全に紙違いですよねしかも目の前を横切ったから掴むって!狩人か何かっすか宮地サン」

「……高尾のクセに口答えすんな」

「理不尽!」





こんなやり取りの間にも宮地サンの視線はオレの頭に注がれたまま。

そんなに凝視しないでほしい。

色々、ツラいんで。





「なぁ」

「なんすか」

「今度、切らせろよ」

「すみません何か気に障ることしちゃったなら土下座でもなんでもしますからそれだけは」

「あ?は……っち、ちげえよバカ!脅しとかじゃなくて、だな……!」

「へ?」





珍しく口ごもる宮地サンを見上げたら、何故か、顔を真っ赤にさせている。

え、なんで?




「……髪。オマエの髪キレーだから。弄らせろ、って意味で」

「……ッ、ちょ、え、えええなんですかいきなりのデレとか!!」

「うっせえ!調子のんな!!!」

「あだっ!もー宮地サンっ、無防備なデコに攻撃仕掛けるのやめてください!」

「オマエがニヤニヤするからだろうが」

「だって宮地サンがニヤニヤさせるようなこと言うから」





照れ隠しにデコぴんかましちゃうような先輩だけど。

こういうのは、あれだ。

惚れたもん負け。



オレはデコを擦りながら、へらりと笑ってみせた。





「そゆことなら、喜んで弄っちゃってください!」








(……そこだけ聴くとドMみたいだな)
(色々台無し!!)





(13/7/3)



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