青峰っちと少しだけ未来


(※未来捏造)
(※高3の2月下旬頃)
(※皆柵なく仲良し)





信じらんねー早さで、高校三年間が終わろうとしてやがる。



手元のペットボトルを弄ってたら、目立つ金髪がこっちに駆け寄ってきた。





「青峰っち?どうしたんスか??」

「あ?……別にどーもしねえよ、ただ休憩してただけだろ」

「えっ、青峰っちあのくらいで疲れちゃったんスか?!」





本気で驚いてますー、って顔にイラッとしたわ今。





「黄瀬ェ……テメーいい度胸してんなァ、そゆことはオレに1on1で勝てるようになってから言えコラ」

「なっ、十回に一回くらいは抜けるようになったじゃないッスか!」





本人はマジで睨んでるつもりか知んねーけど、ムダに顔が整ってるせいで迫力ねえっつーの。





「ハッ、甘ェんだよオマエの攻めは」





小馬鹿にするように鼻で笑ってやれば、プルプルと震えだす始末。コイツの犬っぽいとこは未だに変わんねえよな。





「うわぁぁんっ、高尾っちぃぃ!青峰っちがヒドイこと言うッス!!!」

「え、なに?ちょ、黄瀬くん…っ!いまオレ、黒子と1on1してんだけど!」





向こうのコートでプレイしてた高尾に突撃していく黄瀬に呆れた視線を送れば、どうやらテツに怒られたらしい。トボトボと戻ってきた。



しかしアイツら楽しそーにバスケしてんなあ。





「……青峰っち、楽しそうッスね」

「あん?」

「何か黒子っちたちを見る視線がまるで父親のよ……いや、なんでもないッス……」





黄瀬の言わんとするところが伝わり、すげえ睨み付けたら黙った。
オレは同い年だろうが。





まだ空気は肌寒ぃのに、ちょっと動けば汗をかく。
オレの横に腰を下ろした黄瀬をぼんやり見ていたら、ヤツの首筋を汗がつぅ、と伝った。



なんか。





「エロいよな、オマエ」

「…………はっ?」

「汗の垂れ方がエロい」

「〜〜っな、ななんスかいきなり!脈絡なさすぎでしょ!!」

「いやミャクがどーとか知んねえけど、そそるわ」

「はぁぁぁ?!!!」





少しだけ距離を詰めればその分、後退る。その態度に不快感を覚え舌打ちすれば、黄瀬のキレーな眉が垂れる。
これは、嫌じゃねえけど困ってます、の顔。



チラリとテツの方を見れば、思ったより近くに来ていた。





「僕たち、先に切り上げてご飯でも行きますので、二人は好きにしてください」

「え、黒子っち?」

「おー、さすがテツ。話が分かるな」





相変わらず察しの良い元相棒にニヤリと笑い掛ければ、呆れた顔で溜め息をつかれた。





「いえ。見せつけられても正直、困りますから」

「ちょ、黒子っち置いてかないでくださいッス!……あっ、高尾っち……もふっ」

「高尾君、早急に移動しましょう」





咄嗟に黄瀬の口を塞げば、向こうでシュートをしてた高尾にテツが駆け寄り有無を言わせない勢いでその手を引いていく。
オレらの連携、衰えてなくね?





「え、黒子?どしたん?」

「高尾君。何も言わずにボクに着いてきてもらえますか?」

「ちょ、なにその男前発言」

「高尾ォ、またなー!」

「お、おぉ……?」





こっちから手を振れば、不思議そうな顔をしつつも高尾はテツとコートを後にした。





「さ、て」

「……ッ」

「じゃあオレらも行くか」

「へ?」

「あ?オマエ、まさかここでヤるとか思ってたワケ?」





キョトンとした黄瀬の間抜け面に思わずくはっ、と笑いが漏れる。次第に顔を真っ赤にさせるもんだから堪らねえ。





「さすがにココじゃ寒ぃし遮るもんねーしな。……あ、でもオマエが野外プレイしてえのなら付き合うけど?」

「ばっ……!んなわけないっしょ!!」

「ん、じゃあオレん家行くか」

「!!……青峰っちは、ズルいッスよ……」

「あー?」

「……、なんでもないッス!」





すっと絡まった手は微妙に冷たくて、オレの体温が少しでもコイツに移ればいいと手に少し力をこめた。








(そんな、卒業間近のある日)



(13/1/6)



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