皆の髪質が気になる
(※リクエスト頂いた赤高の頭なでなでの没作品。キセキ高になって赤司がわりと不憫)
(※ヤマナシオチナシ)
「赤司君の髪の毛、ですか??」
「おう、前から気になってたんだよ。黒子みたいにフワフワしてんのかなーって」
「はあ……」
合同合宿中、ふと思いついたように「そういえば赤司の髪の毛ってさ」と呟いた高尾君に咄嗟に反応出来ず。ボクはただ言われたことを反復した。
高尾君はよくボクの頭を撫でる。
この間「そういえば青峰も猫っ毛だよなあ」と不意に告げられて、え、まさか青峰君の頭も撫でたんですかと驚いた翌日には「黄瀬くんと紫原の頭ひくくらいサラッサラだったんだけど!!」と報告に来られて些か戦慄したのは記憶に新しい。
「さりげなーく触ったら怒るかな」
「やめてください高尾君の身が危険です」
「えー?」
いつものようにケラケラ笑う高尾君だけどボクは真剣だ。
青峰君や黄瀬君ですら正直やめてほしかったのに。赤司君の頭を触るなんて、そんな。リスクが大きすぎる。
「高尾、悪いことは言わねえ、やめとけ」
「高尾っち、相手が悪すぎるっス」
「え、なに青峰に黄瀬くんまで。なに赤司の頭ってそんな危険なの?」
ボクたちの話を聞いていたらしい二人が真顔で止めにきたのがツボだったらしく。
いつもの調子で笑い転げる高尾君。
その姿は見ていて和むけど今は内容が内容なので笑えない。
「高尾、オマエはむやみやたら人に接触しすぎなのだよ」
「えー、頭触るのとかスキンシップじゃん。てか真ちゃん、オレ仲良いやつしかやってないから」
「そういう問題じゃない!」
「高尾君は良くも悪くも無防備過ぎます」
「ブフォ!無防備ってそんな女子じゃあるまいし!」
わりと笑い事じゃないです。
そう告げようとしたとき。
「随分楽しそうだな、和成」
話題になっていた人物の声が唐突に落とされ、思わず背筋が伸びる。
振り向いた先に紫原君を引き連れた赤司君がいい笑顔で高尾君を見下ろしていた。
「あ、噂をすれば」
「?僕の噂をしていたのか」
「えー高ちんオレはー?」
「今は紫原の話はしてなかったわーごめんな」
「別に高尾が謝るところではないのだよ」
噂、の単語にチラリと赤司君がボク達に視線を送ったのがわかった。
というか、別に悪い話をしていたわけじゃないのだから目を反らさないでください青峰君に黄瀬君。逆に怪しいです。
「何の話をしていたんだ?」
「……」
「和成?」
じっと、赤司君を見つめる高尾君にボクが慌てて発言しようとしたとき。
フワリとあまりにも自然な動作で、高尾君の手が赤司君に触れた。
「わっ、赤司の髪の毛絶妙にサラフワだった黒子!」
ちょ、あの、高尾君。そんな無邪気に此方を振り返らないでください。
あと赤司君、高尾君が此方を向いているからといってドヤ顔やめてくださいイグナイトしたくなるので。
固まるボクたちをよそに高尾君は赤司君が無言のままなのが気になったのか「いきなり触ってごめんな、怒った?」と顔を覗き込んでいる。
その無防備すぎる行動に赤司君以外の全員が臨戦(高尾君防衛という名の戦い)体勢に入った。
「いや」
「ん?」
「和成の気が済むまで撫で回せばいい」
入った、のだけれど。
「や、それはいいわ!つうか撫で回すとかそゆ発想なんか変態みたいだな!」
「!!!」
無邪気に笑ったその一言で、赤司君はひどくダメージを負ったらしく。僕らの守りの必要は一瞬にしてなくなった。
さすが高尾君。
期待させておいてからの突き落とし半端ないです。
戦闘不能になった赤司君を見つめるキセキの皆の生暖かい視線に気づくことなく、高尾君は眩しい笑顔を浮かべる。
「さ、バスケしよーぜ!」
(とんだ小悪魔ですね……)
(高尾っち……天使で小悪魔とか)
(とんでもねーなオイ)
(……変態……)
(13/6/5)
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[mokuji]