緑間にだけ
幸せそうな顔がどんな顔かなどと聞かれても、明確な答えは返せないが。
「しーんちゃん、どうした?」
弛んだ頬。和らいだ目尻。少しだけ甘えを醸し出す唇。
先ほどの問いを投げられたとき、恐らくいまの高尾の顔はそれであると告げることは出来るだろう。
「真ちゃん?」
だが、高尾がオレにだけ見せるこの顔を、他の誰かに知られるつもりなど毛頭ないから。
きっとオレは口を閉ざす。
「真ちゃん?」
「高尾」
「ん?なに?」
「 」
多くを語らなくても。
オマエは笑うから。
(うん)
(オレも、すきだよ)
(13/6/2)
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