黒子とTシャツ







「最近だいぶ暑いよなあ」





そう言ってパタパタとTシャツの襟首を引っ張って風を送る高尾君。
首筋を流れていく汗が扇情的だな、とぼんやりしていたら「黒子はわりと寒暖とかに強そうだけどどうなの?」とからかうような笑顔を向けられた。





「暑いのはあまり得意じゃありません、寒い方はわりと大丈夫なんですが」

「そっかー。暑いのはなぁ、脱ぐにも限度があるし」

「……まさか高尾君、練習中に上脱いだりとかしてませんよね」





脳裏を過った不穏な予感に思わず尋ねれば、なんてことはないと言わんばかりの表情が返ってくる。





「はは!練習中はちゃんと着てるけど、ぶっちゃけ汗吸いすぎてもう何のために着てんのかわかんない状態だけどなー」

「…………」

「真ちゃんとか律義に休憩中着替えたりしてんだけど、どーもオレはめんどくさくって結局練習終わるまでそのままにしちゃう」





確かに、暑いときは火神君もどうせまた汗だくになるからといって着替えないときもある。
でも、だからといって。





「高尾君」

「ん?どした」

「周りに目の保養をさせ過ぎるのは頂けませんそれに汗をかいたままにしておいたら風邪を引きますTシャツをプレゼントしますから今度からちゃんと着替えてください」

「お、おぉ?」





ノンブレスで言い切ったボクに高尾君はちょっと目を見開いていたけれど、頷いてくれたので一先ず良しとしよう。








(汗で透ける高尾君の身体とか視覚と理性への暴力ですね)
(え?黒子なんか言った?)
(いえ何も折角なので今から買いに行きませんか?)





(13/5/14)



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