緑間との攻防







「いやいやいやおかしいっしょ」

「何がだ、当然の流れなのだよ」

「いやよく考えようぜ真ちゃん。美人で秀才でメガネなのに実は変人で素直になれないツンデレさんとか完全にヒロインじゃん。受けポジションじゃん」

「バカめ。体格や身長差を考えたらこれが正解に決まっている」

「ほら身長差とかさ、細かいこと気にしたら男としてはどーよ?ほら、こういうのって心の問題じゃね?」





オレの上に覆い被さるようにこちらへ体重をかけてくる真ちゃんを両手で押し返しながらの攻防は既に10分を経過しようとしていた。
いや、最初は結構いい雰囲気だったんだぜ?

真ちゃんの部屋にオベンキョーしに来てそろそろノルマこなしたしダベろうぜーって黙々と次の課題とか始めてたエース様の耳を舐めちゃったりなんかしちゃって。
「ン……ッ」とか甘い声だしたかと思えば性急なままにその唇がオレの口を塞いで。思わず口角が上がる。
オッケーこのままイケるやつな。と応えるように口のなかを侵して回る舌に自分のそれを絡めた。

よし、今日こそは。
と意気込んだオレを真ちゃんがしれっと押し倒すまでは。

イイ雰囲気だったんだって。いやまじで。





「よし、とりあえず、一回体起こそうかそこから始めよう。な?」

「往生際が悪いのだよ高尾」

「ちょ、ま、みっ緑間……ひぁ、!」

「……、!」





鎖骨のラインを強引に舐められて、変な声でた。
一瞬、真ちゃんの動きが止まる。いやオレの動きも止まったけど。

無言で見つめ合うとかなにしてんだ。





「……とっ、とりあえず!今日はジャンケンで決めない?」





苦し紛れに言った台詞。
真ちゃんがニヤリと笑って告げた言葉に、オレが後悔するのはすぐ後のことだった。








(良いだろう。今日のおは朝、蟹座は一位だからな)



(13/4/7)



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