黄瀬くんとボーイズトーク28
(高尾くんと黄瀬くんシリーズ)
「ブフォ……!!」
「高尾っち……」
「ブファッ…!!き、黄瀬く、ちょ、ぶぁっはっは!」
「もーっわらいすぎ!」
麗しの黄瀬くんが完全防御状態で現れたらそりゃもう笑うしかない。
マスクにこもってるし鼻声だし何か声も聞き取り難いよ黄瀬くん。
「ご、ごめ……それ、花粉症……?」
「ハイ。……そしてこっちは見てくんないんスね……」
「マスクにサングラスにニット……って、芸能人みたいだけどごめんぶっちゃけ変質者っぽくて……」
「正直そこはぶっちゃけないでいてほしかったっス」
たぶんいま涙目なんだろうけどごめんサングラス黒くて見えないよ黄瀬くん。
「メールしてくれたら会うの控えた…っていうかわざわざマジバまで来させなかったのに」
「せっかく高尾っちとのオフがかぶる貴重な日なのに簡単にドタキャンなんかしたくなかったんスよ……」
「黄瀬くん」
ちょっとびっくりして黄瀬くんのほうを向いたら、ニットでいつもの金髪は見えなくて。
項垂れた姿を見てると彼に耳としっぽがついてたら間違いなくショボンと垂れてんだろうなー、と想像ができた。
少しだけため息をついてから、目元が見えるまで近寄る。
「え、えっ?高尾っち、近……ッ」
彼の目が見えるようにわずかにサングラスを両手でずらして。
「悪化したらどーするの。黄瀬くんの綺麗な姿がだいすきで待ってるひと、たくさんいるんだよ?」
「……ッ」
「今日は解散な?ほら、家まで送るし」
へらっと笑えば困ったように首を傾げた黄瀬くんの手が、オレの服の裾をちょん、と掴んだ。
「ちょっとだけ、」
「ん?」
「せっかく、休みだから……家にちょっとだけ寄ってって欲しいっス」
「うんわかった。薬局で花粉症のお薬買ってこうかー」
「ハイ!」
最初から黄瀬くんが外に出ないで済むようにしとけばよかったとか一瞬思ったけど。まあそれは聞いてなかったし。
とりあえず今は早く彼を室内に避難させるのが先かな。
「高尾っち」
「んー?」
「こっち見る度ビミョーに笑うのヤメテ……」
「ブフォ!ちょ、人が我慢してるんだからつっこまないで!!」
「だから笑いすぎっスよぉぉぉ!!!」
(き、黄瀬く、…写メ撮っても……ぶは!)
(あれ、視界が霞んで見えるっス花粉症かな)
(13/4/5)
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